【30min INTERVIEW】GENKI (PYRO) —新たなペアダンスの形。NEW STYLE HUSTLEとは―

1970年代に生まれ、世界各地に広まったストリートダンス。音楽の歴史と共に進化し多様化し続けている。そんなストリートダンスの中で、2010年代に広まりはじめたジャンルがある。男女のペアダンスを基本とする「NEW STYLE HUSTLE(ニュースタイルハッスル)」だ。自分もDEEP HOUSEのかかるパーティでも踊っている人がいるのを見かけることがあったりとその存在については認知していた。が、やはりまだまだその人口は少なく、どんな特色がありどんなコミュニティがあるのかなど、このジャンルについて知っていることは非常に少ない。
そこで昨年からFRESH DANCE STUDIOにてNEW STYLE HUSTLEのクラスを持って頂いているGENKIさんに話をうかがった。

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―宜しくお願いします。早速ですが、まずNEW STYLE HUSTLEの歴史についてうかがえますか?

ディスコが流行りだしてブロンクスでHIP HOPが産声を上げる1970年代。サルサを踊るラティーノ達がディスコの様な所でも若い子達にパートナーダンスをと、サルサを簡素的にした踊りが「HUSTLE」の起源だと言われてる。HUSTLEは、1977年公開の映画「サタデーナイトフィーバー」で、瞬く間にアメリカにブームがきたんだよね。そして2009年のNY。HOUSE DANCEのオリジネーター集団Dance Fusion Familyの一員、Jeff Selbyが、現代のストリートミュージックに重視したスタイルで踊った事で生まれたのが「New Style Hustle(以下NSH)」と呼ばれてます。パートナーダンスの持つフリースタイルな流れやダイレクトにコミュニケーションができることが特徴のこの踊りは、その後、海を越えヨーロッパやアジアのストリートシーンにムーブメントを巻き起こした。NSHが誕生して今年でわずか10年なんだけど、その勢いはとどまる事なく、今もヨーロッパ、アジアや本家NYで大きなコンペディションが行われたりしているね。

―なるほど。HUSTLE自体は歴史の長さ的にはHIPHOPなどとさほど大差がない訳ですね。ではGENKIさんがNSHを始めたきっかけを教えてくださいますか?

もともとHUSTLEの存在は何となく知ってたんだけど、正直そこまで興味なく(笑) でも、ある日YAK FILMにNSHのオリジネーターのJeffと当時のパートナーのNicoleがNSHを踊ってる動画があがって。それを観たのがきっかけだった。

Jeff Selby & Nicole NEW STYLE HUSTLE Coney Island NYC | YAK FILMS

https://www.youtube.com/watch?v=5xe8BuGphC0

―どういったところに惹かれたんでしょうか?

それまで、ペアダンスに対して「社交ダンス」ってフィルターで見てたから自分がやってるダンスと種類が違う物って思ってた。堅苦しいイメージだし身構えてしまっていたんだけど、YAK FILMSの動画の中でJeffはジャージにTシャツ、キャップにスニーカーというカジュアルな格好なんだよね。何よりグルーヴを感じた。
そこから色々、動画とか漁っていくと、自分の社交ダンスへの解釈が余りにも浅かったなと。どうしてもスパンコールにスラックスなコンペティションのイメージが強かったんだけど、普段は結構ラフに踊られているんだって知ってね。「HOUSEと大して変わらないな」って。ほら、ディライトの様なコンペティションの時のパッケージと、普段クラブのフロアで踊る感覚って全く別物だったりするじゃん。それに、HUSTLE自体はDiscoやHouse Musicで踊られている事も良かった。

―1つの動画がきっかけで一気に広まるとは。現代らしいですね。

そこから興味を持って、家でYoutubeのHOW TOを観て、ステップや動きの流れを研究した。覚えた動きを自分のレッスンでやったりしてね(笑)  はじめて日本でNSHを本格的に観る機会があったのはHIRO(ALMA)が主催してるSDCJの第一回目だったかな。そこにNSHのゲスト講師でチェコから来ていたT-BOYが前夜祭で当時のパートナーMISS BIBIとNSHのショーをしたんだよね。HIROは一早く日本にこの踊りを紹介しようと動いていたよね。

T-BOY & MISS BIBI

https://www.youtube.com/watch?v=HDYmitXd8gA&feature=youtu.be

日本にNSHを持ち込んだZabuにプライベートレッスンをお願いしたら「まだ教えられる程じゃない」って謙虚に断られてね。逆に彼の提案で「互いのダンスをシェアしましょう」って一緒に練習するようになったんだ。

―Zabuさんは2019年から2020年にかけて、47都道府県をNSHのWSで行脚する旅に出られていたりと行動力もありますよね!GENKIさんは東京にいらっしゃった時は、どんな活動をされていたんですか?

日本で初めてNSHにフォーカスしたパーティ”HUSTLE BREAK TOKYO”を、ZABU&ERIと共に東京で5年前にスタートさせたり、後に「GENKI道場」なんて呼ばれてる事を知った練習会とかしていました。パーティといっても、目的は誰かにNSHをレクチャーするというよりも、ただ沢山踊りたかった。(笑)
当時は、まだまだ周りにNSHを踊れる人も多くなかったし、みんなで試行錯誤しながら「こういう流れはどうだろう?」って探求したり、そんな時間や空間が欲しくて。何といっても歴史が浅いジャンルだから。

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Hustle Break Tokyo 2016-March
https://www.youtube.com/watch?v=c2cTzKyDAqI&feature=youtu.be

―NSHはなんとなくHOUSE DANCERがやっているイメージが強いのですが。

それはHUSTLEがHOUSEと同じカルチャーの中で育ってきたから。HOUSEカルチャーの前身にDISCOカルチャーがあって、それも正にNYカルチャーの一つのファクターだと思う。Jeff自身もHouse Dancerでもあるし、日本でもHIROや自分が反応したり。
でもNSHは、世界各国様々なダンサーが踊っている。日本のパイオニアの2人もバレエダンサーのERIとLOCKERのZABUだったり、ヨーロッパのパイオニアのT-BOYもPOOPERでBIBIもWAACKERだったりね。いろんなジャンルの人がいる。それぞれ自分のレペゼンしている事を自由に取り入れてクリエイトできるのも魅力と言えるかな。

―NSHは、カジュアルに自由に踊れるところが魅力だということですが、逆に難しいところはどういった点ですか?

NSHの足の運びとか動きの基礎って他のジャンルに比べるとかなり簡単で。だから3ヶ月もやれば大体のことはできるようになる。POPPINGとかHIP HOPとかだとそういうわけにいかないでしょ?でもそれだけにやり始めて3ヶ月くらいすると、飽きてきちゃうんだよね(笑) 「3ヶ月の壁」って俺は呼んでる。ただ、そこまではいわば「ラフにHUSTLEを嗜んでいる」に過ぎなくて。もちろんHUSTLEだってしっかり魅せようと思ったら難しい事も多い訳だけど。その「3ヶ月の壁」にぶつかってからは、どれだけ楽しみを個々が増やせるかだと思っているよ。

―FRESH DANCE STUDIOでのレッスンでも、経験者の方から、全くの未経験の方まで通われていますが、どういった内容で進められるんでしょうか?

クラスでは、ベーシックステップからパターンワークまで順を追ってレクチャーします。さっきも言ったように、とてもシンプルな踊りなのですぐに踊れるようになるよ。ただ誰かとダイレクトに繋がってコミュニケーション取りながら踊るってなかなか面白いと思う。ソロダンスにはない面白さだよね。後は、Musicality(音楽性)も重要。音楽に乗せて表現をしてこそ、スポーティーなORIGINAL HUSTLEだけでないNSHの魅力でもあると思うので、細かく手助けをしています。


 

NYでは、HOUSE MUSICが生活の中に溶け込んでいるのと同じくらい、ORIGINAL HUSTLEやNSHをたしなむことが自然なことだという。確かに日本では男女が触れ合う踊りは受容されにくく、個々がソロで自由に踊るパーティが多い。しかしNSHのイベントやレッスンの様子を観ていると、必要以上な性的密着や「くどさ」のようなものは一切見受けられない。むしろ流れている音楽に乗りながら、相手へのリスペクトをどう表現するかという挑戦に興じているようにも見える。さらっとパートナーとペアダンスができるようなスマートで色気のある大人になりたいものだ。

インタビュー / 文 : Seiji Horiguchi


GENKI(PYRO)プロフィール

活動20周年を迎えた日本を代表するHOUSE DANCEクルー、PYRO)のメンバー。質の高さが際立つステップ、時折見せるアクロバティックかつトリッキーなムーヴ。その爆発力と共に、緩急色気を放つそのスタイルは決して見る者を飽きさせない。国内外問わずWS、バトルジャッジ、ショーケース等をこなし絶えず活動を広げている。また、NY産まれで世界中にそのムーブメントが広がっているパートナーダンス New Style Hustleを日本でも広めるべく、パーティーHustle Break Tokyoをオーガナイズ。New Style Hustle Kobe等、コミュニティ活動も積極的に行っている。20年以上のキャリアを持ち、ソロダンス・パートナーダンスを自在に踊りこなすストリートシーンにおいても希少なダンサーである。

・経歴
00′ Fight Club Solo Battle優勝
11′ Juste Debout Japon準優勝
12′ WORLD DANCE COLOSSEUM関東大会優勝
13′ DANCE@liveKANTO優勝
14′ PLB,NSB HOUSE5on5優勝
17’ ・Dreams Come True Live 2017-2018
【The Dream Quest】“秘密” 振付スタイリング
・EXILE USA/Dance Earth Festival 2017 WS
・TRF舞台「DANCE REPUBLIC」~The devotion~
出演・振付
etc…

New style hustle JAPAN first shooting 2017 at TOKYO
https://www.youtube.com/watch?v=3hbyl5Hfmqc&feature=emb_title


Seiji Horiguchi

FRESH DANCE STUDIOマネージャー。フリーライター。新聞記者になることを夢見る学生時代を経て、気づけばアメ村に。関西を中心に、アーティスト(ダンサー/ラッパー/シンガー/フォトグラファー/ヘアアーティスト stc…)のプロフィール作成やインタビュー記事の作成を行っている。現在の主な執筆活動としては
・FRESH DANCE STUDIOインタビューシリーズ
・カジカジ、連載「HAKAH’S HISTORY」
・その他パーティレポ、ダンスチーム紹介文、音楽作品の紹介
などが挙げられる。大阪のアンダーグラウンドシーンにアンテナを張りつつストリートカルチャーの「かっこいい」を広めるべく日々執筆中。

ご依頼はこちらまで。
sage.the.nara@gmail.com

 

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