東京や大阪は、人口が多く、交通の便も良いのでダンスや音楽のイベントが多いですね。
今年のGWに、「大阪周辺のパーティ紹介ブログ」を書いたものの
イベントが多すぎて整理できているようで収集がつかなくなったことも(個人的にですが)記憶に新しい。
<GW前後の大阪周辺のイベント情報をチェックできるブログ>
しかし、Ollieが昨年の10月号にて、「LOCALISM」というワードをもって
地方の音楽シーンやヤング達にフォーカスしたように、
都市部だけではなく、地方の攻めたプレイヤーが注目されることも多いです。
それはHIPHOPシーンも同様です。つまり、
地方にもやべえ奴らはいる。
ということですね。自分の好きなアーティストもローカル出身の方は沢山いらっしゃいます。
こんなテーマは今更ここで取り上げなくても、論を待たないところではあるのですが、
それを肌で感じる経験をしたので、今日はその話を。
今年はありがたいことに、様々な地域のイベントにダンサーとして呼んでいただき、
その土地土地のダンスや音楽に触れる機会が多い上半期でした。
そしてこの週末、縁があって青森は弘前市の友人から声をかけてもらいました。
パーティ名は「PHAT(ファット)」
①とにかく自分たちのかっこいいと思えるものを詰め込みたい。
②芯が太く、ブレない。いろんなプレイヤーと太く繋がりたい。
という思いの下、パーティの発足に至りました。
昨年の記念すべき1発目はDYさんとDJ FLIPさんをゲストに迎えました。
主催のクルーはちょうど、僕と同世代ということもあり
以前から交流があったのですが、こうやって一緒にパーティをクリエイトしたり
表現をシェアしあうのは初めて。このパーティ、結果から言うと
本当に素晴らしかった。
DJもダンスもLIVEも各種ブースもペイントも、そしてPAさんも
一丸となって一つのパーティを作り出していました。
ここで、個人的な思い出を語るのは自分勝手だと思うので
これからに繋がるよう、どこが具体的によかったのかを
なるべく客観的な視点から3つ挙げて振り返りたいと思います。
1, 地理的ハンデをものともせず遠方からも人が集っている。
今回は弘前市でのパーティだったのですが
岩手、仙台、山形などなど東北のいろんな地域からも
プレイヤーやお客さんが集結していました。
聞くところによると例えば仙台から弘前まで、車で4時間!!
「同じ東北」とはいえ、街どうしはすごく遠いのです。
(大阪から車で4時間と言ったらだいたい静岡くらいでしょうか?)
これほどまで距離があるにも関わらず、いろんな土地から人が集まるというところに
東北のプレイヤーの気持ちの熱さと、オーガナイザーの人望がうかがえました。
2, 音楽のジャンルのこだわりはなく、Reggaeも和モノもエレクトロもかかる。
主催の友人たちは過去に、大阪の90’s musicのパーティにも遊びにきたりと
間違いなくその時代の音楽やダンスに影響は受けているものの、
彼らのパーティでは、実にいろんなジャンルの音楽が流れました。
「HIP HOPのパーティだから90’sの曲だけ!」というこだわりはなく、
快適でかっこよければ、あとは自由!!という柔軟な発想が気持ちよかったです。
いろんなジャンルをナチュラルに聞かせてくれたゲストDJたちの技術も大きいですね。
音楽性の高さを感じました。
3, 斜に構えない。気取らない。「ハプニングも大いにけっこう」というスタンス。
これはこのパーティに限らず、青森をはじめ東北の方に共通することかもしれないのですが
変に気取らない、人懐っこさのようなものが確かにありました。
いい意味でカッコつけすぎないというか、
いい意味で隙があるところに魅力を感じました。
特にLIVE SHOWをされたMCのJANSさん(from仙台)もまさにそういう方。
自分の弱点やカッコ悪い部分をみとめ、さらけ出したうえで、かっこいいラップをする。
みんなから愛されるキャラクターでした。
自分は都市部のような、隙のないクールな空気感も好きですが
PHATの空間は自分にとって、よりアットホームで息がしやすかったような気がします。
以上がPHATというパーティが魅力的だと言える大きなポイントです。(もちろん個人的に最高だったエピソードは山ほどありますが、ここでは割愛します)
年一とはいえ、そんなパーティをキープするのはとてもエネルギーのいることでしょう。
普段、彼らの生活はレッスンや仕事や就活や(冬場は)雪かきやら…。
けして華やかな生活とはいえないみたいです。
それでもこのパーティにかけているという姿勢に感動しました。
ふと北海道は札幌のSHIFT RECORDのサイトにある、
DJ HISAYAさん,DJ HAYATOさんのMIX「LiveRally 01」の紹介の一節の
「Situation normal all f**ked (状況は無茶苦茶)」だけど、
良質な音・人・モノを引きあわせて行けば、それらが繋がり新たなものが生まれていく。
現状を打開する方法はそれしかないのだ。
を思い出しました。
https://www.shift-record.com/journal/59/
PHATの仕掛け人である弘前の友人たちは、これからも青森でサバイブしつつ、
他の地域とも密接に交流するキーマンになっていく事でしょう。
自分も大阪にて、より一層 成長せねばと思わされた一日でした。
般若さんの東京UPの中の
「都会も地方も気合いだろ」のパンチラインを口ずさまずにはいられないです。
文 : Seiji Horiguchi
Seiji Horiguchi
フリーライター。
新聞記者になることを夢見る学生時代を経て、気づけばアメ村に。関西を中心に、アーティスト(ダンサー/ラッパー/シンガー/フォトグラファー/ヘアアーティスト stc…)のプロフィール作成やインタビュー記事の作成を行っている。
現在の主な執筆活動としては
・FRESH DANCE STUDIOインタビューシリーズ
・カジカジ、連載「HAKAH’S PROCESS」
・その他パーティレポ、ダンスチーム紹介文、音楽作品の紹介
などが挙げられる。
大阪のストリートカルチャーにアンテナを張りつつアンダーグラウンドの「かっこいい」を広めるべく日々執筆中。
https://www.instagram.com/horisage/
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