青森県は弘前にて。 “都会も地方も気合いだろ”を体現したパーティ「PHAT」。

※この記事は2019年5月のものです。

ダンスイベントやパーティが多く、凄まじく目まぐるしかった5月も、もうすぐ終わろうとしています。今年のゴールデンウィーク前に「関西のイベント紹介」の記事でFRESHに届いているイベントを網羅的に紹介しようとしたものの、情報が多すぎるあまり、整理できているようで収集がつかなくなったことも、個人的に記憶に新しいです。


さて、雑誌『Ollie』が昨年の10月号にて、「LOCALISM」というワードをもって地方のストリートプレイヤーにフォーカスしたように、東京や大阪といった都市部だけではなく、地方の表現者に再び注目が集まっています。
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つまり地方にもやべえ奴らはいるということですね。日本の名だたるアーティストも、ローカルから力強く発信を続ける方は多いです。

「地方が熱い」と言う話は今更ここで取り上げるまでもなく自明の話なんですが、個人的にそれを肌で感じる経験をしたので、その話を。


今年はありがたいことに、いろんな地域のイベントにダンスショーで呼んでいただき、その土地土地のダンス、音楽、食に触れる機会が多い1年でした。そしてついこの週末、縁があって青森は弘前市の友人から声をかけてもらい、ショーとワークショップをさせていただきました。

パーティ名は「PHAT(ファット)」。

①とにかく自分たちのかっこいいと思えるものを詰め込みたい。
②芯が太く、ブレない。いろんなプレイヤーと太く繋がりたい。

という思いのもとパーティの発足に至ったというこのイベント。昨年(2018年)の記念すべき1発目は、DYさんとDJ FLIPさんをゲストに迎えて開催。
主催のクルーは、僕と同世代ということもあって以前から交流があったのですが、パーティで時間を共有するのは初めて。このパーティ、結論から言うと

本当に素晴らしかった。

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DJもダンスもLIVEも各種ブースもライブペイントも、そして会場のPAさんも一丸となって一つのパーティを作り出し、細部に至るまでこだわりが詰まっていました。
では、どこが具体的によかったのかを具体的に紹介していきましょう。


ええとこ その①
地理的ハンデをものともせず遠方からも人が集っている。

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今回は弘前市でのパーティだったのですが、岩手、仙台、山形などなど東北のいろんな地域からもプレイヤーやお客さんが集結していました。聞くところによると、例えば仙台から弘前まで行こうとすると、車で4時間!!(大阪から車で4時間と言ったらだいたい静岡くらいでしょうか?)

同じ東北内とはいえ、1つひとつの県が巨大であることもあり、移動のハードルはとても高いのです。これほどまで距離があるにも関わらず、青森県内だけでなく近隣の県から人が集まって貪欲に遊ぶというところに、東北という土地の団結力と運営陣の人望がうかがえました。

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ええとこ その②
音楽の偏り無し。レゲエも和モノもエレクトロもかかる!

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主催の友人たちは過去に、大阪のHIPHOPパーティ「PROPS」にも遊びに来たり、NYスタイルのニュースクールHIPHOPダンスに傾倒していたりと、90’sカルチャーに影響を受けていることが伺えますが、PHATでは、レゲエに和モノ、エレクトロ系のインストビートなど、実にいろんなジャンルの音楽が流れました。「HIPHOPやR&Bのクラシックだけ」という縛りはなく「イケてたらなんでもあり」というDJ陣の柔軟な発想と高いスキル、そしてそれらをナチュラルに受け入れ楽しむヘッズたちの姿勢に好感が持てました。

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ええとこ その③
構えず気取らずありのまま。「ハプニングが起きても無問題」という器の大きさ。

これはこのパーティに限らず、青森をはじめ東北の方に共通することかもしれないのですが変に気取らない、人懐っこさのようなものを感じました。カッコつけすぎないというか、いい意味で隙があるところにかえって惹かれます。
例えばゲストライブで出演されたMCのJANSさん(from仙台)もまさにそういう方。曲のなかで、自分の弱点やカッコ悪い部分をさらけ出したうえで、最高にかっこいいライブをして会場をロックする。若干機材の調子が悪く、ライブが途切れる場面もあったんですが、そんなハプニングさえも歓声に変えてしまうという人柄の良さも感じました。

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都市部のパーティに見られるクールな空気感も好きですが、長野の田舎で4年半くらいダンスをしていた自分にとって、アットホームなPHATの空間は呼吸がしやすかったような気がします。


以上がPHATの推しポイントでした(もちろん個人的に最高だったエピソードは山ほどありますが、5倍くらいの文章量になってしまうので、ここでは割愛します)。

年一とはいえ、この規模のパーティを定期開催することはとてもエネルギーのいることでしょう。
彼らの日常は、レッスンや仕事や就活や農業や(冬場は)雪かき…。主催の友人たちと話していると、日々、苦労、心労が絶えないそうです。それでも音楽シーン、ダンスシーン、ひいては青森という土地を盛り上げるため、このパーティにかけているという姿勢に感動しました(だからこそ、僕もその良さを伝えるためにこの記事を書こうと思いました)。
ふと、札幌[SHIFT RECORD]のオンラインサイトにある、DJ HISAYAさん、DJ HAYATOさんのMIX『LiveRally 01』の紹介の一節の

「Situation normal all f**ked (状況は無茶苦茶)」だけど、良質な音・人・モノを引きあわせて行けば、それらが繋がり新たなものが生まれていく。現状を打開する方法はそれしかないのだ。

というラインを思い出しました。

https://www.shift-record.com/journal/59/


PHAT主催者たちは、これからも青森でサバイブしつつ、他の地域とも密接に交流するキーマンになっていく事でしょう。自分も、大阪という土地でより一層成長せねば!と思わされた一日でした。

般若『東京UP』のなかのパンチライン都会も地方も気合いだろを、地でいく東北のプレイヤーたちにリスペクトを込めて。


文 : Seiji Horiguchi

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