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【パーティレポ】ちょうどいいパーティことTIMELESSの夏場所。

【コロナは第五類に。全力のTIMELESSを見せよう】

2020年秋。緊急事態宣言の影響により激減するパーティと、それに呼応するように目に見えて減っていくダンスチーム。「このままやったら大阪のクラブシーンで踊るダンサーがいなくなってしまう…!」という危機感から走り出したのが、FRESH DANCE STUDIOプレゼンツの「TIMELESS」だ。

とはいえコロナ禍での開催であるがゆえに、人数制限をする必要があったり、オンライン配信に時間と予算を割かれたりと、思うようなパーティ作りができなかった。が、辛抱強く続けた結果、少しずつ「このイベントに出るのが目標でした」と、若手ダンサーたちからありがたい声をかけてもらうようになった。

そんなTIMELESSの7回目。今回は、コロナウイルスが「第五類感染症」に分類されて初めての開催。もう人数制限も、検温やマスク着用義務も不要。つまり、ダンスイベントとパーティの要素を併せ持つ「ちょうどいいパーティ」ことTIMELESSの本領を発揮できる時がやってきたのだ。


結果からいうと、今までで一番充実した回だった感覚があったので、パーティレポを書いてみる(たぶん長くなるだろう)。

【半分以上が初出場。フレッシュな顔ぶれ】

これまでのTIMELESSはお馴染みのチームに出演してもらうことが多かったけど、今回は16組中9組が初出演。なんと半分以上が初めましてだったわけだ。逆に、初回から連続出場記録を伸ばし続けてくれていたZESTやBullDogsが(他イベント出演のため)不参加だったこともあり、全体的にフレッシュな顔ぶれでの開催となった。

初参戦チームは、生まれて初めてショーケースをする男子高校生2人のBaumkuchenや、実の姉妹が組んだJAZZチームPOLICY、東京からチームメイトや仲間を引き連れて凱旋する社会人ダンサー率いるjammin’に、イベントをオーガナイズして地元神戸のシーンを盛り上げているNocksなどなど、それぞれに気持ちやドラマがある。

もちろん、前回に続いて2連続出場のRUFUや、出演するときも遊びに来るときも全力な“TIMELESSっ子”(僕が勝手に呼んでいるだけだ)のクノイチ、奈良出身のGIRL’S HIPHOP3姉妹のCHICC、そしてFRESHインストラクター/スタッフでもあるTAKUYAが所属するAtといったTIMELESSに複数回出てくれている頼もしい面々も。

【「俺、本番踊ります!」リハ直前の捻挫事件】

当日。会場である[SOCORE FACTORY]のスタッフかさごさんと打ち合わせをしながらリハーサルの準備。

少し落ち着いたタイミングで一息入れ、インスタのストーリーを見ると、先述の東京から凱旋する社会人ダンサーが、FRESHの待合の様子をアップしている。どうやらリハーサル前にFRESHをレンタルして練習してくれているらしい。入念な準備に気合いが伝わってくる…と思いきや。

「神様…なんでこのタイミングで…」の文字。

よく見ると、剥き出しの足を氷のようなもので冷やしている。どうやら練習中に足を痛めたらしい。なんと間の悪いことだろう…!そのあと、会場に現れた後輩は、「リハは全力でやれないんですが、本番は気合いでいきます!!」と、顔を青くしながらも、爛々と燃えた目で宣言。心配ではあるが、ここまで来たら多少無茶でも頑張ってもらうしかないのか…。ちょうどこの日から始まった夏の甲子園のムードも相まって、怪我を抱える選手を見守る監督の気分だった…。

【スパイスカレーが食べられるパーティ】

怪我のことも気にかけながら、ダンスリハやDJによるサウンドチェックを終え、いざオープン。あたりにはスパイスカレーの香りが漂う。入り口のすぐ脇でお客さんを待ち構えるフードブース[Kikki Curry×Kitchen MUMU]だ。もはや関西圏のパーティに引っ張りだこの[Kitchen MUMU]は、TIMELESSには欠かせない存在。

毎回、しっかりとカレーの種類を変えてくるあたり、真剣に向き合ってくれていることが伝わってくる(そうやって柔軟に味や具材を変化させられるのもスパイスカレーならではの魅力だ)。

また、個人的にも交流のあるKikkiは、TIMELESSの1ヶ月ほど前に2人で飲みに行ったとき「僕の地元の北海道で蝦夷(えぞ)鹿の肉を仕入れられそうなので、今度のTIMELESSは蝦夷鹿のカレーをやろうかな」とつぶやいた(彼はよくつぶやくように話す)。

ただ、彼らのあいがけカレーは1,000円。Kikkiのもとに入るお金は単純計算で1杯あたり500円
「材料費がかさばりすぎると、儲けが出なくなるんじゃない?」と僕がいうと、Kikkiは「まあ利益よりも、やってみたいって気持ちが強いんでね」と笑いながらつぶやいた。もともとは料理など一切興味がなかった彼がここまで頼もしい料理人になるとは…。人生とは何が起こるかわからないものである。

【DJ JAM→DJ GRADEEのgood vibesプレイ】

オープンDJは、誰よりも楽しみ楽しませる“Mr. TIMELESS”ことDJ JAM。彼こそ初回からずっと出演してもらっている頼もしすぎるプレイヤーだ。これまでのFRESHの発表会でも、何度も参加してもらったりと、FRESHと最も近い距離にいるDJといえるだろう。そんなJAMのプレイは、スロウなレゲエで幕開け。日本有数の祭りの町、岸和田出身のJAMは、DJのキャリアをスタートさせる前からレゲエを聴いていたという。レイドバックなレゲエで、夏感を高めてくれる。割と早い時間から賑やかになっていく会場。

JAMに続き、2番手にブースに潜り込んだのは、この日物販ブースでも参加してもらっていたレコードショップ「pinks vinyl(ピンクスバイナル)」を運営するDJ GRADEEくん。

オンラインレコードショップである「pinks vinyl」は、ユーモラスかつ音楽愛が詰まったCMや映像コンテンツが定期的にアップされるので、普段レコードを買わないという人もチェックしてみてほしい。

幅広い音楽に明るいGRADEEくんは、サンプリングミュージックへの愛を感じるミックスで心地よくナビゲート。この日は、普段クラブに行かないような層も多い印象だったが、そういった人もリラックスできるようなスムースな歌モノを織り交ぜながら、徐々に人口密度が上がっていくフロアを巧みにアゲる。


【気持ちが込もった1部ショー】

JAM→GRADEEの流れで空気があたたまったところでいよいよ1部ショーケースの時間。
MC KORGEさんの登場。この人のベシャリは、緊張と緩和がクロスオーバーするTIMELESSの空気を生み出す重要な要素だ。関西HOUSEシーンを代表するダンスチーム「KURINE」として長年活動されているKORGEさんだが「最近だんだん声が通るようになってきた。喉の開き方がわかってきたかも!!(笑)」と話すように、各所の現場を経てMCスキルも磨いている。

彼の呼び込みによって1部チームが続々と登場。とにかく気持ちのこもったショーが続いた。先ほどの捻挫してしまったダンサーも、怪我人とは思えない迫力のあるショーを見せた。


<Baumkuchen>

<POLICY>

<Nafeel>


<舞+MIRAI>


<Fushime>


<Nocks>


<SSWB>


<jammin’>


<Rod>


<CHICC>


<ヌビアン>


<RUFU>


【DJ CH.0のプレイ直前の一言】

続いてこの日のゲストDJ CH.0(チョウ)くん。京都在住の敏腕DJで、GRADEEくんと共にpinks vinylの運営も手掛けている。僕は個人的に彼がKID FRESINO氏と主催するパーティ<OFF-CENT>にも遊びに行ったり、スタジオで彼のミックスを流したり、過去のインタビュー記事を密かにチェックしたりしていたこともあり、TIMELESSのゲストDJとして呼ぶことができて光栄だった。

機材のセッティングを素早く行いながら僕にこっそり「こんな大勢の前で回させてもらうの、嬉しいです!」と一言。いやむしろこちらがありがたいっす…!

新旧のHIPHOPはもちろん、LAのビートシーンにも明るい彼のバックグラウンドを思わせるようなプレイ。テンポを巧みにシフトしながらフロアをロック。1部ショーが終わり緊張が緩んだ会場との空気もマッチして、クラバーたちがバーカンとフロアを往復する歩みも加速


バーカン前に設置された「pinks vinylブース」も次第に賑やかに。500円で買えるお手軽なものから、5000円程度のレコードまでがレコ箱に入ってズラリと並ぶ。視聴用のレコードプレイヤーも設置されたブースには、ダンサーからラッパー(ラッパーも遊びにくるのがTIMELESSなのだ)までが集合していた。


【洗練された2部。からのsucreamgoodman!!】

続いて2部のショーケースがスタート。1部のチームももちろん気迫がすごかったが、それをさらに超えてくる熱量と、より一層洗練されたチーム感。それぞれに思い入れがあることが伝わってくるショーだった。


<THE DOGG>
<クノイチ>
<At>

そして…

<SP GUEST SHOW : sucreamgoodman>

言わずもがな、抜群のかっこよさ。シンプルなインスト(ラップや歌がない)ビートのループに対し、無数のリズム表現を見せていく。圧倒的な存在感と色気。会場の熱気と歓声は最高潮に達した。


【DJの腕と音好きたちの相乗効果で加速するパーティ】

全てのダンスショーが終わったが、まだまだ終わらない。再びGRADEEくん→JAM兄の順番でDJタイムが続く。DJ GRADEEくんの2巡目は、先ほどのスムースなR&BとはうってかわってTRAPやJapanese HIPHOPを中心にフロアをアグレッシブにバウンスさせる。せっかくなので、パーティスナップでそのムードを振り返ろう。

終盤戦は、DJ JAMの全曲エモ気持ち良い無双モードに加え、CH.0くんも再登場し、軽くB2B。なんと贅沢な…。3人のDJも互いに気心が知れたメンツだったので、リハの段階からリラックスしている様子だった。TIMELESSのほんの2,3日前にリリースされたばかりのTha JontzのWELL-DONEのブランニューがかかったりと、粋な場面も。

 

DJの腕と貪欲なパーティ好きたちの相乗効果によって、パーティは延長に延長を重ね、音が止まったのは、けっきょく当初のクローズ予定時間を1時間以上超えた夜中24時。割と遅くまでお客さんも残っていて、神戸や京都、和歌山からはるばる来てくれた出演者たちも、終電ギリギリまで遊んでくれた。スペシャルゲストとして出演してくれたsucreamgoodmanの3人も最後の最後まで楽しんでくれた様子だった。

こうして7回目となるTIMELESSは幕を閉じた。文句なしの大成功だ。出演してくれた全ての出演者と遊びに来てくれた全てのお客様にお礼を申し上げる。

【この3年間のこと。しみじみ余韻】

自分は今回、TIMELESSの告知を行うにあたって過去の回の写真を眺めていた。

2020年頃から活動を始め、TIMELESS vol.1に出演してくれた初々しいチームが、今ではコンテスト入賞の報告をしてくれたり、アーティストのバックダンサーに起用されたりしている。自分にとってはあっという間だったが、確実に全員が3年分 年をとり、3年分の経験値を獲得している。TIMELESSも、始めたばかりの時はパーティの色も何もない状態だったが、3年間続けてきてようやくカラーや役割のようなものが定着しつつある。そうやって若手ダンサーたちと一緒に成熟できてきたことを感じ、嬉しく思った次第だ。改めて1回1回を丁寧に開催できていることに感謝し、次に目を向けようと思う。

【後日談。怪我をした彼は…】

リハ直前で足を捻ってしまい、本番を気合いで乗り切ったダンサーだが、その後聞いたところによると、1ヶ月程度休めばまた活動できるようになるとのことだった。「これからも、大阪に僕らの活動が届くように地に足つけて精進していきます!」とLINEがきた。うまいこと言わんでええねん!

text : Seiji Horiguchi

【2人で1時間を魅せる壮大な挑戦】舞台REIKO×MIKIHO -our- を観て。

先日、FRESHのインストラクターでもあるREIKOさんと、JAZZダンスチーム「via」に所属するMIKIHOさんによる舞台公演「our」を拝見してきた。

僕は普段、HIPHOP界隈のパーティやダンスイベントに行くことが多いのだが、JAZZの繊細さやエモーショナルな表現が凝縮されたショーや舞台も好きだ。REIKOさんが2018年にプロデュースされた舞台「eN」も見に行ったが、その頃とは規模やコンセプトもガラッと異なる今回の舞台。情報が出た時からとても楽しみにしていた。

もともとはレポを書くつもりはなく、シンプルに「JAZZダンサーによる本気の舞台を見たい!」と思っていただけだったのだけど、公演を拝見した後の興奮冷めやらぬ僕にとって、アンケート用紙の「公演の感想」の欄にコメントを走り書きするには、とてもじゃないがスペースと時間が足りなかった。それだけ感じることが多い公演だったのだ。そこでFRESHのブログを借りて書くことにした。

この記事を読む皆さんには、これから読むのはあくまで1オーディエンスの個人的な感想だということと、(繰り返しになるが)普段HIPHOPの界隈にいるJAZZど素人の男が書いたコメントだということを念頭に置いてほしい。


「our」の会場は、[あべのハルカス]から徒歩10分ほどの場所にある[一心寺シアター倶楽]。6/3(土)、6/4(日)の2日にわたり開催された。なんと2日で5公演という怒涛のスケジュール。これを2人のダンサーだけで完走するのだから、いかに過酷なプロジェクトだったかがうかがえる。ちなみに僕は2日目の1発目の回を拝見しに行った。5公演あるうちの3回目なので、ちょうど折り返しということになる。

少しだけ迷子になりながらも会場に到着。客席には公園のパンフレットと協賛スタジオのチラシ、そして先のアンケート用紙が。僕が席に着いてからほどなくして、ダンスチーム「CANDY NEON」としてREIKOさんと多くのイベントで踊られてきたYUKIEさん、AKKYさんがいらした(少し脱線するが、今年7年ぶりにCANDY NEONがショーをするというニュースは僕を歓喜させた)。まだ薄暗いステージを眺め、これから繰り広げられる公演について考えを巡らせながらその時を待つ。

パンフレットに書かれてあった演目はこちら。ソロ曲も含め、全部で13曲を2人で踊りきる。

戦え
距離
黒いバラード(MIKIHOソロ)
クロスオーバー
孤高(REIKOソロ)
チリニナル
-Interval-
ニコチン(振付MIKIHO for REIKO)
雨傘
ジュエリー(振付REIKO for MIKIHO)
鼓動
SHOW
our
エンディング

結論からいうと、圧巻の時間だった。見ている方も気づかぬうちにエネルギーを吸い取られるような緊張感。曲の展開に合わせて計算された構成。「ここはこういう意味が込められている…?」と考察したくなる場面。逆にそんな理屈っぽい見方など吹き飛ばされるような圧倒的な感情の出し入れ。そして終盤にようやく解かれる緊張と笑顔のエンディング(ここだけ撮影OKだったのでSNSで見かけた方も多いと思う)。詳しい内容を書くとネタバレになるので、そうならない程度に僕にとっての感動ポイントを書くことにする。大きく分けて3つだ。

 

1, 個々の力が際立つシンプルなステージ構成。

まず、大道具や衣装などを用いた複雑な演出を用いず、(イスや傘といった小道具は登場したものの)基本的にはステージ上にはほとんど何もない状態で2人が踊る時間が続いたのが印象的だった。ムービングやストロボといった動的な照明の演出もなく、パーライトとステージサイドスポットのみ。まるで可能な限りの“飾り”を削ぎ落とすことに挑戦しているようだった。

そうなると僕ら観客の視線は、当然REIKOさんとMIKIHOさんに集中する。つまり60分の公演が成立するかどうかは、2人のパフォーマンス次第になると言っていいだろう。しかし、それをただ“成立”させるどころか、舞台は、彼女たちの身体から発せられる言葉で埋め尽くされ、終始圧巻の60分となった。ソロ、コンビネーション、さらには些細な仕草や立ち姿だけで見せきるという、ストイックさとパフォーマンス力の高さを垣間見た。

2, 互いの理解が象徴される「ソロの振付」

最も興味深かったのが、お互いのソロの振付をしあうという試みだ。つまり、REIKOさんのソロをMIKIHOさんが振り付けて、逆にMIKIHOさんのソロの振付をREIKOさんが手掛ける。ショーケースやナンバー作品はともかく「人の振付でソロを踊る」というショーを、僕は見たことがない。一体どんな化学変化が起きるのか、個人的にも楽しみにしていたポイントだ。2人は、本番の数日前に行ったインスタライブで、お互いのソロパートについてこう語っている。

MIKIHO : REIKOさんのファンが見たいであろう景色を意識しました。みんな心臓を撃ち抜かれると思いますよ!(笑) 曲も、もともとは自分が使おうと思ってたけど、今回お互いに振りをつけるってなった時に『REIKOさんに振りを作るならこれしかない!』ってなって。それからわたしは、REIKOさんがステージに立った時の“重さ”が好きなんです。普通ならソワソワしてしまいそうになるちょっとした間でも、REIKOさんならドンと立ってくれる。そういう間も意識しました。

REIKO : (MIKIHOが付けてくれた振付は)“まんま”な世界観だから、普段自分ではやらないけど、MIKIHOが振りをつけてくれたからこそできるのはあるね。 MIKIHOのソロも『こう踊ってくれるだろうな』っていうイメージでつけました。MIKIHOは、正統派の動きをドロドロにする才能があって。湿度高めでね(笑) だから思う存分、染み込んでくれそうな曲を選びました。振付はそこまでひねってないけど、MIKIHO独特の間と見せ方で良いものにしてくれる。それが伝わったらいいなと思います。

個人的に感じたのは、このソロの部分、相手が考えた振りにも関わらず不思議と2人それぞれの体の隅々まで染み込んでいるように見えたことだ。「相手に振りを考えてもらったパート」と言われないと分からないほどだ。誤解を恐れずにいえば、他のシーンでのソロとは違った質感の説得力を持っていたようにすら思う。それくらい、相手の人柄やダンススタイルへの理解の深さが象徴されていた。

3, 長尺のパフォーマンスでこそ到達できる境地。

普段HIPHOPの界隈にいる自分にとって(そしてまた同時に多くの人にとって)、“60分間JAZZだけのショーを見る機会”はほとんどない。

(ちなみに彼女たちのダンスは、HOUSEやHIPHOPなど他ジャンルの影響も多分に受けていることがわかるので、もはや「JAZZのショー」とカテゴライズすべきでないかもしれないが、便宜上JAZZという言葉を使わせていただく)

だから、普段自分が行くようなイベントで見るJAZZのショーとは一味も二味も違った種類の感動があった。時間をかけるからこそ可能になる展開。時間をかけるからこそ削られていく体力。その境地でしか到達できない感情表現(再三書いているが、忘れてはいけないのは、2人だけで60分×5回の本番を走りきったということだ)。この「長尺のパフォーマンス」を行うことについて、再び彼女たちのインスタライブの言葉を引用しよう。

REIKO : 生徒さんにとっては「先生の本気」をガッツリ見る経験は大切かなと思います。普段のレッスンでさえも1分以上踊ることって少ないから。コンテストでも3分だし、クラブのショーなんかも長くて6分くらい。今回、1時間よ!?(笑) やる側もだけど、見る側にとっても何か得るものがあると思います。

MIKIHO : 1時間踊り続けた人がどうなるのか、見て欲しいですね(笑)

そういえば、チケット予約フォームには「各公演40名限定」とあった。[一心寺シアター倶楽]の本来のキャパよりも、あえてコンパクトな規模で開催されたわけだが、それゆえに彼女たちの息遣いや、細かい表情、体重の預け合い、波動の強弱までが感じられたことも“60分見続ける側”にとっての貴重な体験だったと思う。

 

少しの挨拶の後のエンディング。それまで張り詰めていた緊張を解いてリラックスした様子で踊る2人。オーディエンスも、それまで我慢していた声援や拍手を惜しみなく送っていた。


公演後、インスタのストーリーには公演を見に行った人たちの感想やコメントが続々とアップされた。(その多さは、公式インスタアカウントのハイライトを見てもらえば分かる)

もちろん、個々のアカウントもメンションされた訳だが、REIKOさんMIKIHOさんはそんな気持ちに応えるように個人アカウントでストーリーをリポストしてコメントを返していた。

そんな彼女たちのコメントのなかで、「60分という長さを見てもらう」ことや「生で届ける」といったキーワードが繰り返し語られた。時代は「時短」「ライフハック」など、何かと効率化が優先されるようになりつつある。そしてダンスを含むエンタメやアート表現は、SNSを通して数秒単位で切り取られ、インスタントに消費されるようになった。今までは考えられなかった拡散力で、広範囲にリーチできるようになった恩恵もあるかもしれないが、その代わりに、それらのダンス動画が持つエネルギーは、広がる数に反比例して減少してしまっているとも思う。(翌日には忘れ去られてしまうような情報に、何を心を動かされることがあるだろう?)

REIKOさんMIKIHOさんと、2人を取り巻く技術スタッフが60分の舞台を作り上げることは、きっと想像以上に過酷で、膨大なエネルギーを要する活動だったに違いない。しかし、人の心に残り、長い年月をかけて蓄積していくものは、それだけ過酷なプロセスを経た表現であるはずだ。公演に携わられたスタッフの皆さんと、REIKOさんMIKIHOさんへのリスペクトを込めて、JAZZど素人による公演の感想記事を閉じる。


おまけ

公演終了後、ロビーに出てこられたREIKOさんと、YUKIEさんAKKYさんによるたわいないほっこりトークに癒されたのは言うまでもない。今年の夏に7年ぶりにカムバするCANDY NEONのショーもぜひチェックしてほしい!

Seiji Horiguchi

【記録ではなく記憶に残る作品を】映画『ハケンアニメ!』から学ぶ姿勢。

[注意] この記事は映画『ハケンアニメ!』のネタバレを(かなり)含みます。これから観ようとしている方は、ぜひ映画の鑑賞後にこの記事を読んでください。


【アニメ制作の裏側を描く映画】

今年の1月頃にダイコク映像のIllMinoruvskyさんからプッシュされた『ハケンアニメ!』を、今更ながらNetflixで観た。2022年春公開の映画だ。

 

『ハケンアニメ!』あらすじ

1クールの間で最も高い視聴率を記録して、その後も高い評価を得る、すなわち“覇権”をとるアニメを目指して奮闘するアニメの制作会社。吉岡里帆演じる新人監督、齋藤 瞳「見るひとに魔法がかけられるようなアニメが作りたい!」とアニメの世界に飛び込んだ。そんな彼女が初めて監督を務める作品の裏(同じ時間帯の別のチャンネル)のアニメを手がけるのが「天才監督」と世間からもてはやされる王子 千晴(中村 倫也)。両者はそれぞれに苦悩を抱えながら、彼らをとりまく制作クルーとともにハケンを争う。


【今すぐ伝わらなくてもいい。誰かの胸に刺さればいい。】

ハケンを獲得すれば、会社の経営も上向くうえに、監督としての評価も強固なものになる。

瞳が作るアニメ『サウンドバック』は序盤こそ結果が出ず、辛辣な口コミも多かったが、製作陣との地道なコミュニケーションが功を奏し、回を重ねるごとに視聴率はUP。徐々に王子が手がける『運命戦線リデルライト』に食らいつく。

そして最も重要な最終回が近づく。ラストの出来次第で、その後のグッズやDVDの売り上げすら左右されるという。最終回の制作を終え「あとは放送を待つだけ!」というタイミングで、瞳は自らが生み出したアニメの結末に疑問を抱く。ハケンにこだわるあまり、自分が本当に描きたいエンディングから離れているのではないかと。

「今すぐは伝わらないかもしれません。いつか思い出してもらえればいい。誰かの胸に刺さればいい。」

そう言ってエンディングを作り変えることを製作クルーに伝える瞳。つまり目の前の成功を捨ててでも自分が納得するアニメを選んだのだ(その姿勢にクルー全員が賛同して、1から作り直すあたりは若干のフィクション感が否めないわけだが…)。


【ダンスにも通じる!記録ではなく記憶に残るものを】

僕が感じた一抹の「んなわけ!!」はさておき、主人公は最終的にハケン≒ビジネス的な成功を目指すのではなく、アニメ作りを志した時のピュアな気持ちに立ち返ったわけだ。

こういった「ビジネスか。ピュアな気持ちか」という価値観の違いは、ストリートダンスの世界でもたびたび出くわす。

憧れのHIPHOPチームの爆発的なショー、ヒリつくようなB-BOYバトルの駆け引き、そして憂いを帯びた妖艶なJAZZの作品。僕はそういった圧倒的な表現に惹かれてこの世界に足を踏み入れたし、生きている間にできるだけそういった表現に出会いたいという欲がある。

しかし、ダンスをなりわいにしている人間にとって、お金が生まれなければ続けていくことはできない。それにコロナ禍の影響もあり、これまでのやり方でイベントを打つことが厳しくなった。そうなると当然違った形で収益を生む方法を考えないといけない。

ここまでは自然なことだろう。

ただ、なかには効率良く利益を生むことを優先する一方で、ダンス本来の魅力や可能性を無視したイベントも増えているように思う。そんなマネーファーストな価値観は、ダンスの圧倒的なエネルギーに魅せられた僕のような世代にとっては、理解に苦しむ時もある。

聞くところによると、最近では、イベントの運営スタッフが顔も知らないダンサーに対し、DMで「ナンバー出しませんか?」と誘うことが激増していると聞く。そこに作品のクオリティや、振付師のキャリアは関係ない。人さえ集まればそれで良いのだ。ひどい時は断りのメッセージを送ると、既読スルーになるケースもあるらしい。そうやってダンサーを、アーティストとしてではなく数字としてしか認識できない(それもおそらくは悪意なく…)イベントが、実際に増えているのだ。

【琴線に触れるダンスを共有したい】

もう一度書くが、ダンスでビジネスをすることが悪いわけではない。その恩恵で(ダンススタジオを含め)シーンが広がってきたことは明らかだ。でもイベントの運営が大切にすべきは、一部の人間だけが潤う仕組みではなく、琴線に触れる表現をできるだけ多くの人に共有したいという熱意ではないだろうか?

ナンバー依頼のDMを手当たり次第送っている人も、テキストをコピペする指をいったん休めて『ハケンアニメ!』を観てほしい。


最後に一点だけ断りを入れて終わる。

今回は『ハケンアニメ!』主人公の「誰かの胸に刺さる作品を」生み出そうとする姿勢を紹介したわけだが、主人公とハケンを争っていた王子監督が”ビジネスビジネス”していたというわけでは断じてない。彼は彼でとことん納得のいくアニメを作ることに魂をささげる(この辺りはこの記事の冒頭のCMを観てもらってもわかる)。前半のアニメの話と後半のダンスイベントの話を二項対立で対応するように書いてしまったので、あたかも王子監督が金に汚い人間だというような誤解を生むかもしれないと思ったのでフォローを入れておく。


【こっちも観てほしい!】

「アニメ制作」についての作品でいうと『映像研には手を出すな!』もとても良い。過去にレビューを書いたので、興味のある方はこちらも読んでみてほしい。

「チーム戦」のかっこよさをビンビン感じるアニメ。遅まきながら「映像研」にハマった話。

Seiji Horiguchi

【HEX BEX&sucreamgoodmanプレゼンツ】”HANERU WORKS”パーティレポ

“HANERU WORKS”

’00年代から大阪を拠点に全国的な活動を展開してきたヒップホップダンスチーム「HEX BEX」「sucreamgoodman」のメンバーによって2022年に始動したプロジェクト。長年の活動のなかで追求してきた個々のスタイルやスキル、そしてface to faceで築きあげてきた日本各地のプレイヤーとの繋がりを武器に、ヒップホップカルチャーの魅力と可能性を多角的に発信。本物を見極めることが困難になりつつある混沌の世に、アンダーグラウンドサイドから一石を投じる。


この記事を書くにあたって、1年近く時を遡る必要がある。

2022年2月に開催されたOSAKA DANCE DELIGHTで堂々の優勝を飾ったHEX BEX×sucreamgoodman。そしてその後、彼らが表明した「HANERU WORKS」という団体の結成。メンバー6人が主体となって発信を行うということだけが公表されたが、具体的にどんな企画が立ち上がるのかは、当初伏せられていた。

春の終わり頃に発表された企画第一弾の名は「DANCER×BEATMAKER」HONGOU、KUCHA、CHEKE、oSaam、DY、BUUBEEの6人がそれぞれ別のビートメイカーとコラボして音源をリリース。さらにその音源のプロモーションビデオを制作するという壮大な計画だ。1人ひとりのダンススタイルや音楽性が作品にどう反映されるのかが個人的にとても楽しみだった。

6月のKUCHAから始まり、DY → BUUBEE → HONGOU → CHEKE → oSaamの順でおよそ半年にわたって月1のペースでリリースされた音源と映像。そのどれもが、彼らのこだわりや性格を色濃く映し出していたし、同時に彼らが協力を仰いだプレイヤーとの結びつきを強く感じさせるものだった。

HANERU WORKS Youtubeチャンネル

ちなみに、この一大プロジェクトの裏側についてロングインタビューもさせていただいた。彼らの活動の裏側を知ることで音源や映像をより楽しめると思うのでチェックしてほしい。

HANERU WORKSロングインタビュー


この記事を読んでいる大半の方は、ここまでの流れをおおよそ把握していると思うが、ここからが本題である。

2022年の12月に全ての音源と映像が公開されたわけだが、そこから間髪いれず「HANERU WORKSプレゼンツのパーティ開催」の情報が発表された。この企画に参加したビートメイカーや、かねてから彼らと交流のあったアーティストがアメ村に集合して、大々的にパーティが開催されるのだ。「DANCER×BEATMAKER」に参加したビートメイカーの名前が一つのフライヤーに連なるだけで、なんとも壮観だ (ip passportさんだけ、出演者として参加されなかったことは、彼のファンとして残念だったが…)。

先のロングインタビューをさせてもらったライターとして、そして1人のヘッズとして、彼らの企画第一弾の集大成ともいうべきパーティの全貌を目の当たりにしたいと思った僕は、オープンから参戦したわけだが、結果的にラストの音止めまでしっかり遊ぶことになった。今日はそんなパーティの様子を記録として残しておきたい。さまざまなパーティのドラマチックな瞬間を何度もおさめてきた敏腕カメラマン、Jyunya Fujimotoさんによる素敵な写真も楽しんでほしい。


2023年1月27日(金)

この日の最高気温は5度。近年稀に見る大寒波の影響で、大阪もところによっては雪がちらついていた。このパーティのために沖縄からはるばる来られた方も、あまりの寒さに急いで(沖縄では着ることのない)ダウンジャケットを購入したという…。

さて、22:00少し過ぎに会場の[Club JOULE]にたどり着いた。DJブースの頭上のスクリーンには、ダイコク映像が編集を手掛けた映像が流れている。


DJ DY

R&Bのインストver.多めな印象。壮大な幕開けを感じさせるDYさんのオープンセット。自身もゆったり首を振りながら徐々に、しかし確実に、フロアにヴァイブを伝えるDYさん。この時間から来ている知り合いもちらほら。青森からはるばる来てくれた友達(実に3年半ぶり…!)もフロアをダッシュして最前でDJブースのDYさんに手を振っていて愛くるしかった!


DJ Duckbill

レペゼン愛媛、初めましてのDuckbillさん。BUUBEEさんとともに音源/映像を制作したビートメイカーが来阪だ。被っているキャップには、彼が所属するクルー「SAKE DEEP」のロゴ。時折サイドMCに、同じくレペゼンSAKE DEEPのSiVAさんの姿も。

彼のビートをビートライブの要領で流すのかな?と勝手に思っていたけど、がっつりレコードでDJ。ターンテーブルスキルも惜しみなく披露しながら縦ノリのグルーヴを淡々とキープしていた。
徐々に人口密度が高まっていくフロアをしっかりロック。隣で彼のDJを聴いていた奈良の先輩も「かっこいい!」と呟いていた。


1部SHOWCASE

関西で一番かっこいいイベントMC、TATSUYAさんの仕切りでショーが幕開け。FRESHの発表会「NAMURA ATTACK」ではイベントの進行具合も意識しながら、時にはかなり急ぎ足で進行してもらう時もあるけど、この日は、出演者とオーディエンスのテンションを上げることに全振りする喋り。深夜のパーティということもあり、1部の頭から全力投球で声を張り上げる。


咫和巵

昨夏のJDDで「咫和巵+無名」で特別賞を獲得したことも記憶に新しい大型ルーキー。並はずれた身体能力を武器にする破壊力抜群のショーだった。人間離れした技もさることながら、シンプルなステップも重い…。息つく暇もない怒涛のルーティンとソロで、おおいに会場を沸かせた。ショーのラストには、Tシャツのバックに刻まれた「Ancient City Kyoto」のロゴを見せつける。見事なレペゼンっぷりだ。


BullDogs

こちらは大阪レペゼンのHIPHOPチームBullDogs。CHEKEさんのスタイルを敬愛し、継承する4人組。TRUE SKOOLで特別賞をとるなど、クラブシーンだけではなくダンスシーン全体にジワジワと認知を広げている。

先ほどの咫和巵は、イントロたっぷりで空気を作るスタイルだったが、こちらはいきなりフルスロットルで踊り狂う。メンバーのKURANOSUKEはヘッドバンギンしすぎてデューラグも取れる勢い
2人パート、4人パート、ソロ…と目まぐるしく展開を変えてたたみかける。こちらはショー終わりに、衣装の下に着ていたTシャツの「HW」のロゴを見せて大阪の先輩へのリスペクトを表した。


ZEST


大阪レペゼンのトリオ。この3,4年でコンテストやバトルを中心にめきめき頭角を表し、各地のパーティにひっぱりだこの若手筆頭だ。こちらも「HW」のロゴがあしらわれたフーディで登場。メンバーのIKKIが「S.W.R.D」という名義でビートメイカーとしても活動していて、彼らのショーではそのビートも用いる。

ZESTのショーの武器は、“チーム感”だ。一つひとつのステップやノリの質感の合わせ方が尋常ではない。FRESHでも夜な夜な練習したり、クラブにも3人で遊びに行っていたりと、とにかく一緒に時間を共有している印象がある。チームが少なくなりつつあるご時世にここまでチーム力を仕上げてくるのは、個人的に感動すら覚えた。


Kannoma × Atsuki


奈良レペゼンのAkinobuさん、TAKUJIさん、そして神戸レペゼンのATSUKIさんによるユニット。
長年バトルやコンテストに挑戦を続けながら踊りを磨く3名は、中堅層のなかでも特にプロップスが高く、個人的にもお世話になっている兄さんたち。ただこの3人でのショーはおそらく初めて。どんな作品になるのか予想がつかなかったが、Kannomaの2人とATSUKIさんのスタイルが見事に溶け合い、いずれも幅広い音楽やダンスに通じるダンサーであることを再確認した。ショーを見ている僕らにまでインスピレーションを与えてくれるようなウィットに富んだショーだった。


DONUTS + 白ごはん

待ってました、アメ村レペゼンのパイセンたち。イベントの情報が解禁されたときから「めちゃくちゃ楽しみ!」と気合いをのぞかせていたが、この日も鼻息ふんふん、覇気をまといながら登場
全員、ステップの踏み込みもいつもよりも黒く重たく、フロアの熱気も一段と上がる。

1人ひとりが多忙なライフスタイルのなかで、バトル・レッスン・ソロショー・ビートメイク・MV出演などなど、それぞれの表現を全うしているわけだが、やっぱり全員がひとところに集まった時のクルー感は、「ドーシロファン」にとっては熱いものがある。

体型や音楽性、踊りのアプローチも見事にバラバラで、ずっと違う種類の刺激に包まれるし、さらにそれらのエナジーが合わさった時の爆発力は他にはない。最後まで飽きないショーだった。


DJ SOOMA

1部のショーが終わると、DJブースにはSOOMAさんがスタンバイ。ほぼ毎週末(ときには平日も)どこかの現場でスピンしている大阪アンダーグラウンドの代表的存在。長年のディグ&ギグが生み出すグルーヴィなDJもさることながら、ラッパーへのビート提供やMIX CD、TAPEの制作など、幅広くアウトプットを続けるTHE・職人。思えばHANERU WORKSの「DANCER×BEATMAKER」の企画も、SOOMAさんの『Killing Fight』の音源からスタートした。

この日は、なんとHANERU WORKSのパーティの前にアメ村[KING’S TONE LOUNGE]でも一度スピンし、肩が温まりまくっている状態での登場。極太なHIPHOPチューンでフロアを揺らす。

個人的にはSOOMAさんのDJ中の手元の美しさを見ながらゆれたいし、知らない人にも見てほしいのだが、ステージ奥にDJブースが組まれているJOULEではそれがかなわない。ただ、大きい箱ならではのパワフルなサウンドで極太なグルーヴを全身で浴びることができるのは贅沢だ。内臓に響く低音を感じながら揺れるひととき。
ただゲストライブの前の時間で、いよいよフロアに人が増えてきたため、ガッツリ踊るのは不可能だった。


ゲストライブ 茂千代

再び登場したMC TATSUYAさんの呼び込みにより、髪を後ろでゆわえ、さながら侍の様相で茂千代御大が登壇。ゲストライブの時間だ。バックDJはもちろんSOOMAさん。
2008年リリースの『NIWAKA』、2019年リリースの『新御堂筋夜想曲』そして昨年12月に長崎のDJ MOTORAさんとリリースした『REBIRTH』に収録されている曲を次々と披露。淡々としかしヴァイブス満タンでスピットする姿は改めてかっこいい…。「ここ一番のパーティするにあたって、絶対茂千代くんに出てほしかった」とブッキング時からただならぬ熱量をのぞかせていたHANERU WORKSメンバー。それに応えるような魂のライブだった。

セットリスト

・実演NIWAKA THE LIVE
・新御堂筋夜想曲
・GET BUSY
・師事
・Reverse
・First Take
・IMPULSE

(勉強不足で曲名がわからないものもあった…)

ここまで歌ったあと、少しMCの時間。

「自分もHIPHOPジャンキーで、日々レコードとかCDとか掘ってるんですけど、大阪、日本にはもっともっとやばいディガーがいっぱいいます。ここで、年齢とか関係なく俺がリスペクトしてるラッパーを呼びます。16FLIP a.k.a ISSUGI in da house!!!!」

その声とともに、この日はDJ名義でクレジットされていたISSUGIさんが、マイクを握って登場。予想外で激アツな展開!もちろん2人で披露するのは、ENDRUNさんのアルバム『ONEWAY』(2016)に収録されている『FINEST』。ファンにとっては、イントロの「茂千代を聴け」「ENDRUNを聞け」「ISSUGIを聴け」の掛け合いを生で聞けるだけで既に熱い。「はい!心して聴きます!」という気持ち。

僕個人の感想だが、『FINEST』の茂千代さんのリリックは、(7年前の曲というのにもかかわらず)コロナ禍の日本にもめちゃくちゃに刺さる内容なのでぜひ知らない人はリリックも追いながら聴いてほしい!

※このMVはダイコク映像がディレクションを担当しているので、知らない人はぜひチェックを。


ライブ後は2部ショーケース。まずは3名の女性ダンサーによるソロだ。

MAHINA

 Jack Dine – Such a Thing

いまや全国を飛び回ってワークショップにゲストショーに活躍しまくりのMAHINAさん。2022年リリースのJack Dine『Such a Thing』の心地いいトラック/ボーカルとともに、まるで自身が曲を奏でているように、踊りの起伏まで巧みにコントロール。”シンプル”をとことんまで突き詰めたMAHINAさんの無二のスタイルは、バトル / ショー / セッションなど場面関係なくずっと見ていたくなる…。3分強の1曲使いも、あっという間!


REIKO

唯一JAZZダンサーとしての出演!ジャンルの垣根や、アングラ/メジャーの壁を超えまくって
幅広く活動されているREIKOさん。何百人というオーディエンスの前でも一切ブレることなく、美しい“止め・跳ね・払い”を見せながら、フロアを縦横無尽時に舞う。こちらも1曲使いで、会場の空気を一気にREIKOさん色に変えた。

Donique Fils-Aime – Stand By Me


MIO

暗転したフロアをレーザービームが照らし出せば、我らが姉御、MIOさんの登場!ウサ耳のついた衣装でステージ上に仁王立ち。曲のイントロとともに手拍子を促す姿は、さながらワンマンライブだ。「ミオピョンピョン!」のウィスパーボイスがクセになるトラックは、ip passportさんと二人三脚で作った完全オリジナル。この音源はパーティの3日前にSoundCloudで公開され、自分を含め多くの人が予習していた。さながらワンマンライブだ!

からの、昨年のNAMURA ATTACKのMIOナンバーでも使用した曲でオーディエンスを巻き込みながら、さらにぶち上げる。MIOさんの生徒さんもたくさん来られていたようで、僕の真後ろからも「みおさああああん!!!」と声援が飛んでいた。

Koodie Shane – The Hills


GRAYSOURCE

今回唯一の関東からの参戦。TAKESABUROさん率いるGRAYSOURCEの登場。超絶アグレッシブなルーティンと、1人ひとりの爆発的なソロ。TAKEさんYASSさんのベテランチームは言わずもがな、20代の若手組も1人ひとりが昨今のダンスバトルやコンテストで必ずと言っていいほど名前を連ねるなど、間違いなく国内トップレベルのダンサー

コロナ禍以降、「HighBreedClub」としてでオンライン上でのレッスンや映像配信を継続してきた彼らが大阪の現場に登場するのは熱い!この後の大トリに、良い意味で発破をかけるようなパッション全開のショーだった。


HEX BEX  &  sucreamgoodman

説明不要のOSAKA DANCE DELIGHT優勝ネタ。Dance Delightのチャンネルでアップされている正面からの引きの映像は、これまでに3000回くらい見てきたが、JOULEのフロアで、手で触れられる距離(本当にそれくらいのポジションで見ていた!)で踊るのを見ると当然ながら興奮度合いも違う。一つの踏み込みに全身全霊をかける。四肢が弾け飛びそうになるほどのヒット。ふとした仕草に宿る遊び心と色気。フロアの歓声は最高潮。改めて彼らの揺るがぬプロップスを目の当たりにした。

全力の3分ネタのあとは、去年およそ1年をかけて制作&リリースしてきたオリジナルトラックでのソロ。これこそHANERU WORKSの企画第一弾「DANCER×BEATMAKER」の核となる部分だ。


渾身のショーケースのあと、6人が残るフロアに再びGRAYSOURCEが登場。あれよあれよという間に東西のダンサー総勢13人によるスペシャルセッションがスタート!タイムテーブル上では公開されていなかったサプライズコンテンツにフロアは再びどよめく。ビートはENDRUNさん。ぶち上がらないわけがない。大興奮で2部ダンスショーは幕を閉じた。


DJ ENDRUN

興奮冷めやらぬフロアをさらに熱く揺らすのは、長年のストイックなビート制作で全国のプレイヤーと繋がってきたENDRUNさん。自身でプロデュースしたトラックもかけつつ、’00年代のHIPHOPやR&Bも多めにプレイ。2020年代と2000年代の曲を絡めるという実験的なMIX CD「GOOD TIMES」の第2弾を昨年リリースしたことも影響しているかも?「なるほどこうきましたか!!」と超新鮮な時間だった!


DJ 16FLIP

茂千代さんのライブのラストで登場したISSUGIさんが、お次は「16FLIP」名義でDJブースにセット。ストレートなHIPHOPをカットイン多めで淡々とつなげるスタイル。以前、HoofitにゲストDJで来られたときも、その実直なまでのプレイに魅了されたが、今回もブレないスタイル。まるで「これが今イケてるHIPHOP!」とガイダンスしてくれているよう。


DJ BUDAMUNK

初めて聴くBudamunkさんのクローズDJ。どうしめてくれるのか!という期待に、彼が出した答えはR&Bセット。彼のR&Bのミックスが最高に気持ち良くて最高なことは、過去のミックスCDで確認済み。

このあたりで久しぶりに会った友達と話し込んでしまったので、全部をしっかり聴くことはできなかったが、終わりに向かって徐々にBPMも落ちてくる…?と思いきや、後半まで跳ねたビート!フロアに残ったダンサーたちは思う存分踊って遊んでいた。終盤には『First Jam Magic ft.仙人掌』など、Budaさんがプロデュースに関わったスムースな曲も。Budaさんが回すクローズDJでこの曲を聴く贅沢さよ…。

そして気づけば時刻は朝5時。徐々に明るくなるフロア。それでもまだまだ居座り続ける欲張りなパーティ好きたちに応えるようにジワジワとDJタイムも延長。完全に音が止まったのは6時前。DYさんがマイクを握り「みなさんありがとうございましたー!」と最後に挨拶。

最後に集合写真を撮って終了。眠気と疲労に包まれながらダラダラ集合する感じも、なんだか久々で楽しい。地方から遊びに来た方もかなりの人数が最後まで残っていた。ようやく気兼ねなく大阪に遊びに来れるようになったんだなあ…と感慨深かった。

ちなみに今回のパーティをきっかけに、DJ SOOMAさんが愛媛の「SAKE DEEP」のパーティに出演することが決まるなど、最高すぎるリンクもあったようだ。こうやって現場で繋がって次の動きが生まれることこそ、現場の醍醐味だし、スチャダラが「とにかくパーティを続けよう」と説いた心ではないだろうか。僕個人としても、3年半前にパーティを共同で主催したことがある青森のダンサー友達と「またパーティをやりたいね」と話せたりと、久々に心躍る時間だった。そうやって街を越えて遊んだりクリエイトしたりすることが再び可能になった今、HANERU WORKSが今後どんな企画を仕掛けるのかが気になるところだ。冒頭の彼らの紹介文にもある「face to faceで築きあげ」る関係性こそが、一番最後に残るものだと信じている。

Text : Seiji Horiguchi

神戸の夜が完全復活!! HIDE-OUT vol.13 レポ。

2022年のゴールデンウィークいかがお過ごしだっただろうか? コロナ禍をようやく脱しつつある5月、何年かぶりに羽を伸ばせる大型連休。普段会社勤めの方は、大いに楽しんだのではないだろうか(最大10連休の方もいたと聞いた)。一方で「連休中こそ仕事が忙しい!」という方もいたかと思う。

僕はどちらかというと後者だ。基本的に事務所にこもって作業をしたり打ち合わせをする時間が多かったような気がする。そんななかでも唯一、ガッツリ遊びに行けたパーティが神戸[VARIT]で開催されたHIDE-OUTだ。

20代の頃から神戸のHIPHOPシーンを広げるべく動きまくって、結果も残してきたATSUKIさんとtomoyoさんによる、気持ちがこもったパーティ。出演者が発表された時から「行くっきゃない!」となっていた。


個人的にはめっちゃ久々にアメ村以外の街でのパーティ(というかパーティ自体久々!)。

FRESHが企画・運営しているイベントでは、基本的にいつも裏方に回っているので、自分がお客側として手放しで遊べるのは嬉しい…。今日は久々にパーティの様子を少しだけ書き記してみようと思う。


この日(金曜)はFRESHの受付業務を終えて大阪難波駅へダッシュ!終電に飛び乗っていざ神戸。阪急神戸三宮駅から5分ほど歩いて、無事会場の[VARIT]に着地。

地下への階段を降りたところにあるキャッシャーを抜けてドアを開ける。バーカンのフロアと、そこから階段を降りたところにあるダンスフロアの2階層に分かれている。会場に着いたら、みんなまずはバーカンでお酒をゲトってダンスフロアに降りていく流れ。久々に会う人もいて話が弾む。今日はゲストもゲストなので、神戸以外の街からはるばる遊びに来た人も多い!

鉄の階段を降りてダンスフロアへ。DJブースではQUESTAさんがスピン。このあと始まるダンスショーのエナジーを予感させるような、ハードなHIPHOPがかかる。その音に引き寄せられるように徐々にダンスフロアに人が増えていく。そしてショーケースの時間。GUEST HOST MCであるTATSUYAさんの咆哮が轟く。

「ホストMC」という肩書きでゲストとしてイベントに呼ばれる人が、日本のストリートダンスの世界にどれだけいるだろう!最近「マシーン原田の部屋」にて、MCを始めたきっかけや信条について話されていたのを見たばかりだったので、興奮もひとしおだ。(OLD SCHOOL NIGHTのMCも本当にお疲れ様でした!!)

イベントの軸【MC】の仕事【マシーン原田の部屋】 #41


そんな名MC、TATSUYAさんのコールによって1発目に登場したのは、TAA&ATSUKI。ど頭から気合いバチバチ!体の効きが尋常じゃない!がっつりランニングマンも踏むし、トラップでバウンスもするし、表現が自由自在だ。一つのスタイルに偏りすぎず、幅広い音楽のなかでフレイバーも絶妙に変えてくる二人のショーはあっという間だった。(個人的にラストのソロ回しで使っていたインストのビートが特にエグすぎた…)


続いてSAFON。昨年4月に開催したFRESHの発表会「City Attack零」でも踊ってくださったMAHINAさんとtomoyoさんが登場。

 

落ち着いた音でゆったり登場…かと思えば、ラップの細かい音を全部拾うくらいの勢いのtomoyoさんによるワンムーブや、MAHINAさんのどこまでもスムースで、余裕すら感じるソロなど、波のような緩急で見どころ満載。昨年末に二人が開催したバトル&パーティイベント「MELLOWAVE」の今後の動向も気になるところ。


続いてMIO×REIKOが登場。

関西を代表するQUEEN of QUEENは、出てくるだけで男性からも女性からも大歓声。オーラ全開のお二人は、ルーティンをやっていてもソロを踊っていても、吸い込まれそうになるような凄みがある。衣装も踊り方も、どちらか一方の雰囲気に寄せるというよりも、お互いにそれぞれのスタイルを貫いている感じがするけど、それでも二人が並んで立った時のオーラの発し方には鳥肌が立つ…。(個人的に、MIOさんREIKOさんのショーは風が吹いているような錯覚に陥る)


さらに登場。LOW FAT MILK.T-PAC

神戸のシーンを築いてきたOGが颯爽と登場。(恥ずかしながら初めて)LOW FAT MILK.T-PACのショーを生で目の当たりにしたけど、凄まじい…。映像では到底伝わらない生だけの迫力がある。ロック、クラップ、ポイント。一つ一つのシルエットがカッコ良すぎる。そしてシンプルにスタミナがすごい…!「ここからさらにソロに行くのか…!」と、限界突破しまくりの攻めの姿勢にぶち上がった。(神戸の大先輩がここまでフルアウトして踊る姿を見せてくれるのも、ATSUKIさんtomoyoさんのパーティならではなのかも…!)


そして大トリはもちろんこのクルー。HEX BEX+sucreamgoodman

問答無用の迫力とシンプルを突き詰めたスキル。惜しくも多くの人が生で見ることが叶わなかったOSAKA DANCE DELIGHTでの優勝作品。3分にダンス人生の全てをかけた踊り。さらにそこから1人1曲のソロで仕上げにかかる。実は今回初披露となった「一人一曲のソロ」には、いろんな作戦が企てられているみたいだけど、おそらく違う媒体で色々と明かされていくと思うので今は伏せておく。(でも早く誰かと話したくてウズウズしている)


ショーが終わったあと、フロアは少し放心状態に。たしかにこれだけのショーが続けば情報過多にもなる!オーディエンスの脳味噌が情報処理に悪戦苦闘しているうちに、GREENWORKSさんのDJが始まる(ここも恥ずかしながら初めましてだった)。心地いいラインを自在に行ったり来たり。そのなかでもレコードでかける和モノが絶妙なスパイスだった。

続いてDJ Naoki Matsumotoさん。そのまま四つ打ちやブレイクビーツなど、ダンスミュージックが続く。フロアはダンサーによるサークルが自然発生。街や世代を超えて踊り合う感じ、いいな!


good musicによって、バーカンのわや具合も加速。個人的にパーティスナップを撮ってみた。


朝5時。会場から出ると外はもう明るい。太陽に顔をしかめる感じも懐かしくて良い。


コロナ禍で延期をやむなくされ、久々の深夜開催だったHIDE-OUT。出演者の気合いや、お客さんの解放感もひしひし感じた夜。大阪から程よく離れた街に遊びに行く楽しさも思い出した夜。

主催のATSUKIさんtomoyoさんにリスペクトと感謝の気持ちを表してイベントレポを閉じる。

Seiji Horiguchi

細部までこだわった「ちょうど良い」パーティ。TIMELESS vol.4レポ

2020年。コロナの影響でパーティやコンテスト、そしてダンスバトルが続々となくなり、若いダンサーの表現の場がなくなってしまうという危機感からスタートしたパーティ、TIMELESS。緊急事態宣言の繰り返しによって、やむを得ず延期になってしまったこともあったけど、現場の入場制限を行ったり、オンライン配信を軸にしたりすることでなんとか継続してこれた。

イベントをやり始めた動機は「やらねば!!!」だったけど、「どうせやるならイベントとして細部まで充実させたい」という気持ちもあって、第一回目から濃厚なキャストが揃った。その甲斐もあって、遠方から遊びに来てくれる人がいたり、「このイベントに出たい」と言ってくれる人が現れたりと、運営側にとってはこれ以上ない反応が返ってくるようにもなった。

今回は若手から御所まで全17チームと、3人のDJに出演してもらった。写真もたっぷり載せながら当日の様子を振り返ろうと思う。


「当日の様子」と言ったが、まずはこのフライヤーから触れさせて欲しい。

一発で目を引くフライヤーのデザインは、大阪市の我孫子(あびこ)在住のコラージュアーティスト、AIMIちゃん。TIMELESS第一回目からずっと依頼させてもらっていて、過去にはイベントのCMも作ってもらったことも。

告知の時にも書いたけど、AIMIちゃんのポップでサイケな世界観はたまらない。爽やかなカラーリングと意外な取り合わせのコラージュ。そしてそこにちょっぴり不安な気持ちにさせるようなモチーフもスパイスとして加えるAIMIちゃんのデザインは、他にはない。そういえば以前、「コラージュのアイデアはどこから来るの?」と聞いたら「自分が見た夢をかなりの確率で覚えていて、それを形にすることもある」んだとか。今回のTIMELESSは3月の開催ということで「春っぽい感じ」というイベント側からの注文に対し、このようなデザインで仕上げてくれた。個人的にパーティのフライヤーっぽくないところが気に入ってる。フライヤーフライヤーしてないというかね。


話を「当日の様子」に戻そう。


この日のフードブースは、今回初参戦、日々ヘッズの腹を満たし、さらにイベント出店も行うなどストリートシーンに寄り添う南堀江のオアシス[That’s Pizza]。この日「pizza city」としてショーにも出てくれたグウェンは、[That’s Pizza南堀江]の店長 。

会場に入ると、高く積まれたピザの箱の山が目に飛び込んでくる。グウェンと、同じくショーに出てくれるISSA君が朝からお店で大量のピザを仕込んで持ってきてくれた。パーティでマルゲリータをまるっと1枚食べられる贅沢感…。イベントオープン直後から早速オーダーしてる人もちらほらいたぞ。余談だけど、僕がThat’sでいつも頼むメニューは、ホワイトソースベースの生地に、ソーセージとポテトがどっさり乗ったわんぱくな一枚「ソーセージ&フレンチフライ」(¥1,100-)だ。コーラとキメるのがオススメ。

フードブースの隣には、BETWEEN MUSIC STORE(以下BMS)による物販ブースが待ち構えている。この日スペシャルゲストDJとしても参加してくれたDYさんがセッティングして、ブースにも立ってくれた。

イベントのブースにもきちんとレコード、アパレル、VHS、ボールペンなどなど、BMSならではのアイテムを持ってきてくれるあたりにも、DYさんの丁寧さを感じる。それから、何年か前にデータで広まり、今年満を持してフィジカルリリースしたMIX『SOON AS I GET HOME』はオンラインストアやレコード屋では購入不可のレアアイテム。希少価値の高いMIXがゲトれるのも現場の物販ならではの楽しさだ。DYさんがDJをしている間は、敏腕スタッフが店番をしてくれていたぞ。

オープンDJはDJ Rie。この日唯一のレコードでのDJ。気合いを入れてレコードを選んできてくれたらしく、予定よりも少し遅れての到着。ダンサーでもある彼女は、DJとして活動し始めてまだ日が浅いルーキーだけど、好みがはっきりしていて気持ちいい。のんびりしたRieちゃんの話し方からは少し意外な、ハードサウンドがフロアに響く。

南堀江[Isandla Records]でのDJ配信もアーカイブ視聴可能なので、時間がある人は覗いてみて。


いよいよ1部ダンスショーが始まる。全11チームが続々と登場。

1部SHOWCASE

1, MoVe
2, Bug Funk
3, THREE
4, Jiggy flavor
5, PARVATI
6, pizza city
7, Rod
8, lollipop
9, Sugahstone
10, BullDogs
11, クノイチ

ちょうど1週間前に開催された「Osaka Dance Delight」にも挑戦していたチームが多数出演してくれた(11チーム中5チーム!)。ディライト明けにもかかわらず、(いや、ディライト明けだからこそというべきか…?) どことなく鼻息が荒いダンサーが多かった気がする。そういった若いダンサーによる「ぶちかます!!!」というエネルギーがバシバシ伝わってきた。彼らが良い意味で緊張感を高めてくれたこともあって、1部のショーは本当に見応えがあった。彼らに声をかけて正解だった!

ただ本当に残念ながら、直前の怪我とか体調不良によって急遽参加できなくなったチームもいた。せっかくショーに向けて準備してくれたのに…。でも僕ら運営側も、良いチームだと思ってブッキングさせてもらっているので、次回以降必ずリトライしてもらいたい。


1部のショーが終わればDJ JAMによるDJタイム。

この日、彼が所属するTha Jointzのメンバーも多数駆けつけてくれたぞ。同グループの曲もしっかりプレイ。 「シェッケシェケバーディー」「ザッツザジョイン!!」などジョインツ節が炸裂した骨太なサンプリングHIPHOPで、初見の人も思わずバウンス!!


続いて2部
1, Kawaha-lo+Sage
2, ZEST
3, BASIC Inc+Nevnow

自分はこの2部の頭で出させてもらった。2020年1月にショーをしてから実に2年2ヶ月ぶりのショーケース。スタジオの運営やライター業に追われて、踊ることから少し遠ざかっていた時期もあったので、ショー作りに入るときは正直不安もあった。ただ自分のスタイルを表現するツールとして、ダンスは本当に大事だと改めて思ったし、瞬間的に集中したり緊張したりすることの尊さも再確認した。30歳にもなると、生活の中で緊張する経験が本当に少なくなる。個人的に取り組んでいるライター業の方は(これを書いている今もまさにそうだけど)1人でPCに向かう時間が圧倒的に多い。もちろん緊張感のある案件もあったりするけど、ダンスショーの緊張感はやっぱり他では味わえないものがある。あとやっぱりめっちゃ楽しい。


音源トラブルで生まれた気まずい間も、MC KORGEさんのベシャリと「ターン50周チャレンジ」で、さらっと回避。

「50周チャレンジとはなんぞ?」と、気になる人はこちら↓


2部のショーは自分たちのチームを含めHIPHOPが続いた。ZESTも、BASIC Inc.+Nevnowも、コロナ前からイベントでもよく一緒になるチームだったから嬉しかった。みんなかましてたぜ。


SPECIAL GUEST SHOW
1, soil
2, SS
3, ATSUKI+KOSSY

コンテスト、バトルでも結果を残してきた全国レベルのダンサーたち!もはや説明不要。問答無用のスキルや気迫でショーを締めくくってくれた。


そしてラストのDJタイムはDJ DYDYさんのクローズの気持ち良さは、過去のVillage CampやCity Attackでも何度も実証済み。この日もこれ以上ないグルーヴのうねりで踊らせてくれた。途中、(泥酔一歩手前の)DJ JAMも参戦して、2人によるBack to Backになる場面も。これは予期せぬ展開!この時間が一番のハイライトかもしれない。最後は、惜しまれながらも音止め。大盛況のTIMELESS vol.4は、幕を下ろした。


 

ここからはパーティスナップをどうぞ。

大規模すぎると疲れてしまう。チープすぎても惹かれない。TIMELESSは馴染みやすくちょうど良い規模のパーティなんだと思う。二十歳前後の若いダンサーからベテランの大先輩まで、幅広い世代の人がリラックスして楽しんでくれているのは嬉しかった。(テキーラをいきすぎて早々に帰宅し、翌朝ベッドとカーテンが反吐まみれで絶望した後輩ちゃんもいたみたいだけど、それもTIMELESSらしさかも)

改めて出演してくれたキャストや、告知で力を貸してくれた方々、そして会場のSocore Factoryのスタッフ様にお礼を申し上げて、TIMELESSレポを閉じる。

また次回、お会いしましょう。

Seiji Horiguchi

海辺の越境パーティ「みんなのうた」で夏を閉じた話。

9/12のみんなのうた。FRESHが主催するイベントでは初となる野外での開催。無事に怪我や病気もなく終えることができました!本日はそのレポートを。


今年は毎夏の恒例イベント「Village Camp」が開催できなかったこともあり「夏の思い出を作る場所が欲しいなあ」という話から企画がスタート。

「密を避ける」×「ワクワクする場所」からはじき出された答えが…野外イベントでした。

会場の案に出たのは、自分も遊びに行ったことがあった和歌山のBagus。海と山に挟まれた絶好のロケーション。どれだけ絶好ロケーションなのかは(前にも紹介したけど)FRESHスタッフのanna a.k.a PINK MONSTERの書いてくれたブログを参照くださいませ。

ハダシ デ オドル アソビバッ 🌻


当日、スタッフはFRESHに集合。事前に用意していた冷やしパインやスピーカー、テントなどを車に積み込みデッパツ進行。僕は体質的にお酒が飲めないので必然的にドライバー。わざわざこのパーティの為に地方から遊びに来てくれた友達も乗せてレゴ。

およそ2時間弱のドライブを経て12:00にBagus着。つい3日前までは晴れ予想だったのに、しとしと小雨。ピーカンでの開催は叶わなかったか…。

階段を降りていくと、少しずつ波の音が近くなる。この”プライベートビーチ感”がBagusの好きなところ。久々に聴く波の音。久々に吸い込む森の匂い。これだけでも十分あざすやな。

諸々の準備や機材チェックを終えていよいよオープン。


早い時間から駆けつけてくれた方も多かったのが印象的でした。遠いところ来てくれて嬉しい…。

曇天でもおかまいなしに服を脱いで海に飛び込んでいくメンズ達。冷やしパインをかじりながらベンチに座ってくつろぐギャル。ゆったり音楽に乗りながらビールをあおる兄さん姉さん方。海沿いを歩いて、遠くの岩場まで探検に行く男女。楽しみ方、過ごし方は人それぞれなのも良い…。何もせずぼーっとするのもアリ。
前半戦でスピンしてくださったDJ YUNGEASY → DJ DY → DJ SOOMA → DJ QUESTAが、とにかく最高の流れだった!浜辺で聴く彼らのDJは、アメ村のクラブで聴くのとはまた違った良さがありました。(夕方にしとしと降っていた雨も夕方にはやみ、「よかったー」と胸をなでおろす)

早い時間から来てくれたみんな、ありがとなあああ。

 


GUEST LIVEに登場するは、REP北摂、優しく力強いメロディラインと、琴線に触れるパンチラインで人気を博すJambo Lacquerさん。よく考えたら2020年2月のHONGOU×Jambo Lacquerの対談(SOWL VILLAGE企画)の時ぶりっす。お久しぶりっす。

http://sowlvillage.com/sowl-village2020-interview-west/

言葉が沁みる。音が沁みる。山と海に響く歌。

ライブにぶち上がりすぎてセットリストははっきり覚えていないんですが、以下の曲をはじめ、EVISBEATSさんプロデュースの『Rhythm』など、優しく包み込んでくれる”Jambo Lacquer節”を披露してくれました。この人を呼べてよかったと改めて思いました…。

 

ラストの曲の間奏ではウルフルズ『とにかく笑えれば』をサンプリング。この人が歌うとまた違った良さがある…。あっという間の30分でした。


まだまだパーティは続く。


ライブが終わってバーカンに行こうかなと歩き始めたオーディエンスを制するようにTAA&Yacheemiがゆらりと登場。この日の前日、“越境RAW GROOVE”というテーマで2時間のワークショップを行ってくれたTAAさんYacheemiさん。

それぞれ普段の活動範囲だったり、踊るジャンルは違うけど、二人で並んだ時のおさまり(?)が絶妙に良いのが不思議だったなあ(意外と背丈も同じくらいだった)。関東と関西のイベントを行き来するうちにいつの間にかフィールして仲良くなったとおっしゃっていました。

ショーの方は、bpm80くらいのゆったりしたローテンションの曲から、急に倍速の曲に展開していくなど、既存の枠を破壊して新たな形を生み出す姿勢がめちゃくちゃかっこよかったです。ジャンルの壁、地域の壁をゆうゆうと取っ払ってヴァイブス満タンのショーをお届け。まさに越境。”スニーカーon砂浜”という斬新な環境だったけど、おかまいなしにぶちかましてくれた!

(「越境」という言葉は間違いなく今回の合言葉になったと思う)


からのショーの仕上げはダンスセッション!(もちろん引き続き砂浜でだ)

DJ DYさんがかける曲に合わせて次々とダンサーが参戦。豪華かつハイテンションなセッションはがっつり20分。砂を撒き散らしながら本能のままに踊り狂ってくれました。


間違いなくクラブでは見ることができないセッションでした…。ヴァイブスが溢れて机が壊れるというハプニングも、ご愛嬌…。


このあたりで日も落ちきって「みんなのうた」は後半戦へ。スタジオから持ち込んでいた照明が夜の浜辺を幻想的に照らすなか、DJタイムが続きます。

DJ SOOMA

DJ YUNGEASY

DJ Yacheemi

この並びはそう見られる(聴ける)ものではない。まだまだ止まらない越境。どこからともなく手持ち花火も出てきて、いよいよ夏の締めくくり。

そして最後はDJ DYの心地良い〆でCLOSE.


遊びに来てくれた人も出演者も、笑顔ばかりでホッとしました。スタッフが撮った写真や、来てくれた方による写真で当日のゆるさ、楽しさが少しでも伝わってくれれば幸いです。

 

「みんなのうた」は今後も開催したいなーとぼんやり思っています(いろんな状況や都合があるから分からないけど)。ですので、今回存分に楽しんでくれた方も、あいにくタイミングが合わず来れなかった方も次回の開催を、ぼんやり楽しみにしておいてくださいね。

以上をもってFRESHの夏を閉じます。

Seiji Horiguchi

大盛況に終わったTIMELESS vol.3 !!! レポ

 

8/1(sun)に開催したTIMELESS。
結成から間もないフレッシュなチームからシーン第一線のOGまでが登場しショーを披露するだけでなく、DJタイムやフードブースなど細かい部分にまでこだわった隅から隅まで楽しめるパーティを目指しています。

3回目である今回から、南堀江Socore Factoryに場所を移しての開催。結果から言うと…大盛況でした!!事前に「100名まで」と人数制限を行っていたのですが、イベント1週間前には予約が埋まってしまいました。 (定員が埋まってからご連絡いただいた皆さん、申し訳ありませんでした…)

現場でのイベントがなかなか厳しい状態が続いたため「久々の現場っす!」という出演者もいたりと、みんな気合いは十分。TIMELESSでは、もはやおなじみとなっているMC KORGEさん(僕は心の中で「MC鋼メンタル」と呼んでいる)の仕切りとともにショーはスタート。この日、どれだけダンサー達が気持ちをぶつけてくれたのか、気になる方も多いでしょう。早速1部のショーの写真からご覧ください!


THE DOGG


Fat$hots+BLUE


You TIME


the bubble roller


B.O.L


keijiro+MaaYa


tipcy


NODuHAZE


som low union (from富山)


もちろんオープンしてからの時間や、ショーとショーの間にはDJタイムもたっぷりあったのですが、そちらは後ほど紹介させていただきましょう。続いて2部のチーム……

の前に、スーパー激レアなシークレットゲストが登場!!

GONさん&よっちさんによる「わっしょいクルー」!

お客さんはもちろん、実は出演者にも秘密にした状態で、いきなり登場していただきました!先日のODDでも爪痕をがっちり残した二人。この日会場にいた方はラッキーでしたね!

もう登場からこのハンズアップ…!

彼らにしかできない沸かせ方で、最高のショーを披露してくれました。


シークレットゲストが終わったところで、元のプログラムに戻ります。わっしょいクルーの後、踊りにくいか… と思いきやトップバッターのAtを筆頭に、堂々のショーが続きます。POPPING / HIPHOP / GIRL’S HIPHOP 、と三者三様の濃厚な時間でした!!


At


ZEST


B△MDIVA+AZU


さらにさらにこの日の目玉、スペシャルゲストショーケース。関西を代表するこちらの3チームが登場!!

DEBOC


EXmatic.


CHEKE nagamune


ライブ感」というか、チームの世界観をただ放つだけでなく、オーディエンスを引き込んで巻き込んで一つのショーを作り上げるスペシャルゲストのショーは流石の一言!改めて「この方達をブッキングしてよかった!!」と思えるショーでした。特にラストのCHEKE nagamuneのショーはさながらROCK STAR!! オーディエンスとの密な距離感や掛け合いも込みでショーが完成していたような気がします。やっぱり生が一番だぜ!!!


さあお待たせしました。ここからはスナップタイム。もうここで多くは語るまい!! TIMELESSらしい最高の笑顔の連続でした。

フロアを良き空気感に持っていってくれたDJ ANCHIN、そしてゲストのDJ MO-RIさん、さらには我らがDJ YUNGEASY先生も急遽参戦!いつにも増して豪華でピースな時間が続き、パーティは最高な形で幕を閉じました。

 

 

 

 

 

 

フードブースの牛丼を頬張る人…。リラックスして静かに音に揺れる人…。派手にアルコールを浴びる人…。フロアでプチャヘンザしては貪欲に楽しむ人…、ひたすらにダンスについて語り合う人…。「楽しみ方は自由!!」が一番の特徴であるTIMELESSで、みんなが思い思いの過ごし方をしていました。改めてお越しいただいた皆さん、ありがとうございました!!

大阪はこの翌日から再び緊急事態宣言が出てしまったので、今後のTIMELESS開催については予定は立っていませんが、いつか必ずこの盛り上がりを超えるTIMELESSを開催したいと思います!! その日まで皆様、元気でお過ごしください!!

FRESH DANCE STUDIO STAFF 一同

最高空間「The Lights@NOON」レポ

僕が好きなパーティの一つに「The Lights」がある。

梅田のセレクトショップ「Lumps」やDJ MO-RIさんが仕掛け人。毎回のゲストはもちろん、レギュラーの出演者も十分豪華なパーティだ。それだけでなくこのパーティには大阪独特の温かみが宿っている。毎回 笑顔の人しかいない。

コロナ禍でも、Twitchでの配信に切り替えたり、MIXCLOUDにDJ陣のMIXをアップしたりと、とにかく「音を止めない」姿勢をキープしていた。ただ今回の開催は配信ではなく、現場で通常通り!という事でいつにも増して気合いの入ったブッキング!!

フライヤーもLANPさんの可愛いくて夏らしいデザイン。もうこの時点でGOOD PARTYほぼ確やん。しかも、その日は奇跡的に仕事が休みなので、だいぶ前から「絶対に遊びに行く」と決めていた。
(恐らくコロナの関係かもしれないが)10日前くらいまでタイムが確定しないという異例の事態でもあったが丸一日オフの僕にとってはdoesn’t matter。何時でも駆けつけるぜという気持ちだった。


いざ地下鉄に飛び乗り北上。なんか電車でパーティ行くのも久々でソワソワするなあ。それも平日の昼間に。

13:00オープンで、会場に着いた16:00頃には既にバーカン周りの大人たちは良い感じに。豊崎に新店がオープンしたThat’s PizzaがFOODに入っていて、フードブースの周辺は良い香り。(NOONの近所でつけ麺大盛りを食べてきてしまった事を少し後悔した)

ライブペイントをされていたLANPさんにビールをご馳走になる。「ライペはこれからですか?」と聞くと「もう1枚描き終わって、今2枚目っすね。早く遊びたいじゃないっすか!!笑」さすがっす!ライブペイントの作業スペースを振り返れば、LANPさんの作風の代名詞とも言える見事なグラデーションの作品が。いつ見ても見とれてしまうなあ。心の洗濯。

と思ってる間に、フロアが静かに。ライブの時間だ。


Äura
この人のライブの時間には何がなんでも間に合わせるぞ。と決めていた。バックDJは旦那のINGAさん。この二人の空気感をフロアから眺めて本当に最高の夫婦だなあといつも思う。

kzyboostさんプロデュースの『monologue』や、洋楽のカバー?と思われる曲も。Äuraさんの穏やかで芯のある歌声がフロアに響く。名村で聴くÄuraさんも最高だったけど、クラブで聴くのもグッと引き込まれる。あー泣いてまいそう。

数曲、知らない曲も歌われていたのでさては音源リリースが近いのか…?と自然に楽しみも増える。(噂によるとYotaroさんとも曲を作ってるとのこと…)

ラストは、もはや定番にして鉄板の『SKYWALKER COVER』

「ゆるやかな〜」で始まるアカペラの歌い出しを聞いて、4月のCity Attackの夕焼けがフラッシュバック。やべえいよいよ涙腺が…と思ったら、途中でÄuraさんストップ。あれ?と思ったらすぐに歌い出しからコマゲン。すかさずINGAさんも「どこで飛ばしてんねん」とツッコミ。なんだかそういう夫婦の掛け合いもほっこりするなあ。総じてほっこりライブだ。


その後はダンスショー。最近DJ SOOMAさんがローンチした「M-13Tシャツ」を着て颯爽と登場するのはFunkyP姉さん。

(良い写真を撮れなかったのが悔しいが)渾身の2曲使い。気合い十分!!PさんのPEACEなスマイルとバッチバチのハードヒットのギャップはいつ見ても食らう。この日はPさんの後輩かな?という若いPOPPERが多かったが、ダンサーもそうでない人も十二分に盛り上がっていた。


DJ MO-RI

ダンスショーの後はMO-RIさんのプレイ。日本語ラップ&インスト&クラシックのバランス感覚。これこれ。これが聴きたかった!自分にとってThe Lightsの色を決定づけるというか、MO-RIさんのDJスタイルがこのパーティの核になってる気がする。

…少し余談だが、ビートマニアの端くれである僕が、BandCampの海を泳ぎまくってたどり着いたヨーロッパのインストビートを、MO-RIさんが普通にレコードでかけているのを聴いた時は膝から崩れ落ちそうになった。さすがっす…。

フロアはダンサーが多かったし、ちらほら中学生くらいの子も。自分ら最高の夏休みやんけ!!


もう お一方のソロショーケース。創さんの登場!!こちらは212Tシャツでの登場。ただただ渋い。


OGの貫禄や間違いないスキルにも十分興奮するけど、何と言っても緩急がえげつない。大波が押し寄せたと思ったら少し引いて、次の大波…。ずっと渦の中に飲み込まれてる感覚。これがライブ感というやつか…。創さんも、普段話す時の穏やかさとスイッチが入った時のvibesのギャップには驚く。大阪、いや日本の宝!


バブルソ

レペゼンWARAJI。レペゼン北摂。チプルソ氏とKazBubble氏の名コンビ。


「16小節の旅」と称した鉄板の早口ラップや、腹に響くほどの音圧のビートボックス。さらに「STUDIO韻シスト」で生まれたクラシック『HOT COFFEE』のリミックスを披露。「これは現場でしか聴けないRemix!! Youtubeでは見れないぜ!!!」とパンチラインが炸裂。これには全員たまらずhands up!!  とにかくオーディエンスのぶち上げ方がうますぎる!!こういう一体になる感じ、忘れかけてたなあ。汗だくで叫ぶチプルソさんの後ろで、渋めにうなずいたり、おどけたりするKazBubbleさんの姿も愛らしい。


RITTO

ついに登場!大トリは沖縄からRITTO氏。やっけーよ!!!言葉や表情、仕草の一つ一つの圧力というかエナジーが凄まじい。それでいて「みんな置いてかないぜ」という安心感もある。もはや母性?

最初から最後まで、観ている方が自然とハンズアップしてしまうようなライブだった。(あのライブを棒立ちで見る方が難しいんじゃないか…) さながらパンクロックのようなパワフルさ。彼のライブは何度も見てきたが、今までよりもさらにアップデートされているというか、限界突破しているように感じた。「大阪来たらみんな何かと気にかけてくれるから嬉しいんすよ。また帰ってこれて最高です」と、大阪への愛も語るRITTO氏。おかえりなさい!

そしてこちらも「STUDIO韻シスト」で生まれた「それはいっとけ!! あれもいっとけ 」の掛け合いで有名な曲を、シークレットゲストのブギ丸さんと共に披露。

スタジオで即興で生まれた状態のまま『MOP-Ante Up』のインストでやるのも もはや鉄板。二人の力強さや声量とマッチしまくっているし、RITTOさんのダミ声とブギ丸さんの高音フロウが完全にLil’ FameとBilly Danzenieを彷彿とさせる…!サッカーのパス回しのような絶妙な掛け合いにフロアの熱気は最高潮に。

〆はもちろん「NINGEN State of Mind pt-II」この人の言葉を聞くだけで「なんか大丈夫かも」と思える。まさに「なんくるないさ」の精神。ありがたすぎる。


クローズDJは4号棟氏。

BPM180くらいのBASS’n’DRUMやJUKE?でプレイ(合ってるか自信はない)。「そうきたかー!!」という感じ!楽しい。隣で揺れるDJ JAMも「いやー4号棟さんやばいっすね!!」とニコニコ。そして飛行機が着陸するように次第にBPMが落ち着いてラストは今年リリースされて話題になっている『NO WOMAN NO CRY』の沖縄ver.でシメ。しっかり整いました。

 


最高なパーティは本当に一瞬。「ワンモア!!」の声も虚しく、音は止まる。Pさんの「みなさんありがとうございました〜」の声でお開き。ワンモア…。

バーカンの脇のソファーで明日のジョーみたいになってる人は…LANPさん?きっとライペを仕上げて張り切って遊びまくっていたのだろう。最高すぎる。(でも灰になってらしたので、挨拶はできなかった)

再び地下鉄に乗り、南下して帰路についたのだった。(爆音を聴いた後にサラリーマンに混じって電車で帰宅するのは変な感じだったが、これからはそういう終電までのパーティも多くなっていくんだろうな)


この1年近くクラブに行く事を我慢していた自分にとっては、いろんなことからの開放感も相まって音の聴こえ方まで違ったような気がする。この楽しさをどこかに残したい!と思ってパーティレポを書くに至った。

あの最高空間を作ってくれたThe Lightsクルーに感謝とリスペクトを。そしてこれからも音楽を止めてはいけないと再確認した。

Seiji Horiguchi

「まだあわてるような時間じゃない」

みなさんこんにちは。FRESHスタッフのセイジです。今日は久しぶりにのんびりと日常を綴った記事でも書こうかなと。

 

ここ最近は、夏を思わせる気候だと思っていたら急な雷雨に見舞われたり、朝晩が冷えると思えば昼はTシャツ一枚で過ごせたり。

いろんな季節が交差しているような感覚に陥る今年の春。

FRESH最大のイベントCity Attackも終わってほっと一息ついている間に5月に突入しました。みなさんいかがお過…

5月??

早えーよ、おい。花見もろくにしてねえよ。

「のんびりブログ」なんか書いてる場合かよ!この調子じゃ終わっちまうぞ2021年!!

バスケで言ったらもう第二Qも終わって折り返しじゃんかよ!!あー…こんな時、陵◯のあの人がいたらこう言ってくれただろうな。

 

…うん、そうだ。

まだ2021年はあと8ヶ月もあるんだ。アニメだったら2クール分はある…。少し落ち着いた。


あ、そういやもうGWじゃないっすか!やったー!

どこ遊び行こうかなー!イベントも無理のない範囲で遊び行きたいな〜

…と期待に胸を膨らませていたら…。

大阪は新型コロナウイルスの陽性者数が激増してしまったため3度目の緊急事態宣言。飲食店や大型の商業施設への自粛の要請が更に厳しくなり予定されていたイベントも続々延期・中止に。(結局「まん防」ってなんだったの?)

これには彼もたまらずこういうだろうな。


コロナ」と聞けばビールだけを連想していた一昨年までのGW。

かつてのGWはイベントが目白押しで、インスタをひらけば追いつけないほどパーティやバトルの情報があがっていましたが、今年はそうもいきません。

最近、パッと目にしたのはGONさんとDJ SOOMAさん主催の「BYWAY」とClub Triangle主催のオンライン配信イベントくらい。(他にもイベントの情報を見落としていたらごめんなさい!!)

[DJ SOOMA Instagram]
https://www.instagram.com/djsooma/

[Triangle Youtube Channel]
https://youtube.com/channel/UCejhUBULaRsOLnK4k0Pi50g

イベントの現場が次々と減っていくことでダンスのモチベーションをキープするのも難しくなってくるところです。

…が、発想を転換し、これを逆に好機と捉えて水面下でスキルを鍛え直すという方や好きな音楽と向き合って自由気ままに踊るという方も多いのでは?(幸い多くの音楽ジャンルでリリースラッシュが続いています。コロナ禍の数少ない喜びの一つ!)

しかもこの5月の陽気。外で踊るのも気持ちよくなってきます。

ちょうど良い気候ですよね!

練習終わりに飲むビールとかもね!

最高ですよね!(僕、お酒飲めないけど)


ちなみに、スタジオ練はスタジオ練で良いもんです。

スタジオシューズを脱いで裸足で踊る事で足の裏の感覚を確かめる…。

イヤホンやヘッドホンではなく、スピーカーから出る音でお気に入りの曲を存分に聴く…。

鏡に映る自分と向き合い、無心でベーシックを鍛え直す…。

僕はFRESHのスタジオで踊る時には特別な感覚や感情を感じています。スタッフとしてではなく1個人のダンサーとしてね。

しかもFRESHはスタジオごとに特色があって、それぞれの部屋の特色によって感覚も微妙に変わってくるのも面白いところ。

特大スピーカーのサウンドを楽しめるSTUDIO1

他のスタジオとは独立した場所にあるため、精神と時の部屋状態のSTUDIO3

唯一の鏡2面張りでしっかりシルエットを確認できるSTUDIO8

多種多様な部屋があります。


そしてこの5月からはこのFRESHの良さをお得に味わって欲しい!ということで…

こんなキャンペーン始まりました!!!(ようやく今日の本題に入れた)

「550円キャンペーン」

深夜(23:00~翌朝6:00)のレンタルに限り

どのスタジオでも
何時間使っても
一人 550円!!

例えば、一人でSTUDIO1に6時間こもっても550円!(通常時の83%offという計算になります)

完全に”お値段以上“なプラン。


ただ、最近では朝方の生活になり

深夜に練習するのはちょっと…

という方もいますよね?ご安心ください。

FRESHってそもそもレンタル代安めなんです。

気になる方は、こちらのページでレンタル料金をシミュレートできる機能もありますので調べてみてください!

https://freshdancestudio.com/rental/

大阪の数あるレンタルスタジオの中でも比較的料金がお得な方なんじゃないかと思います。全部調べたわけではなく、あくまで感覚ですが。


またFRESHを借りられる方は、練習以外にも個人のワークショップだったり小規模のイベントだったり、映像作品の撮影、またオンライン配信に使われる方もいらっしゃいます。用途はアイデアの数だけありますので、是非スタッフに問い合わせてくださいね!

各種 衛生対策もしながら、お待ちしています(風力が尋常じゃない扇風機も最近登場した)。

今日のブログまとめ
・じっくり自分の踊りと向き合う時こそスタジオへ!
・FRESHでは深夜帯にお得な550円キャンペーンを実施中。
スラダンの映画化まじ楽しみすぎる。

Seiji Horiguchi