【知り合い0人の田舎者】初めて「Hoofit」に行った話。

 

僕は奈良県奈良市の高の原という街の出身だ。18歳まで地元を出たことがなく、保育園、小・中・高校も全て近所なので、電車通学の経験もなかった。その反動か「高校卒業後はとりあえず家を出て、どこか違う街で1人暮らししたい」と考え、長野県の大学を受験した。とはいえ、「絶対にこの大学に入りたい」などという明確な理由はなく、センター試験の得意科目や、偏差値なんかをもとに検討し、なんとなくの流れで辿り着いたのだった。

大学生活を含めた4年半ほど松本に住んだあと、大阪に引っ越してきた。ダンスの修行のためだ。DANCE@LIVEの関東予選(たしか原宿かどこかのクラブで火曜の深夜に行われていた)で、oSaamさんのダンスを初めて目の当たりにして「この人に習いたい」と一念発起し、大阪にやってきた。

初めてFRESHのレッスンを受けた時のことは、以下の記事で書いた。

「初めてFRESHにレッスンを受けに行った日」

今日はその少しあとの話だ。

通うダンススタジオも決まり、バイトも決まった頃、次は遊びに行くクラブを探してみることになった。(どうやって情報を仕入れたかは忘れたけど)近所にある[Night Wax]というクラブで「Hoofit」というパーティが定期的に開かれていることを知り、行ってみた。

Google mapを頼りにクラブの場所を辿ると、南海電鉄の高架下に行きついた。クラブの外観の印象はいかにもアンダーグラウンド。しかも扉は締め切られているし、特に看板なども出ていないため通りすぎてしまいそうになる。でも、うっすら音楽が聴こえてきているのと、入口周辺に自転車が何台か停まっているのを見るとどうやらここで間違いなさそうだ。勇気を出して扉を開けてみる。

ライトの灯った廊下が6,7mほど続いていて、奥のスペースから音楽が聴こえてくる。廊下の脇は小ぢんまりとしたテナントになっていて、レコードが所狭しと置かれているのがショーウインドウ越しに確認できる。昼間はレコ屋として営業しているようだ。

ちなみに、2015年リリースのBudamunk『Five Elements Feat. MONJU & OYG』でもこのNight Waxが使われているので、中の雰囲気がなんとなく伝わるかもしれない。

そのまま音楽が流れる廊下の突き当たりへと進んで重い扉を開けてみた。

…フロアが異常に暗い!!ミラーボールが反射する光以外は、明かりと呼べるものはほとんどないくらいで、隣にいる人の顔も見えにくい。そして音量もかなりのものだ。フロア後方に積まれた背丈の高いスピーカーからどっしり響く低音が、体の内側まで震わせる。

目を凝らすと、DYさんBUUBEEさんなど、大阪の著名なダンサーがフロアで揺れている。田舎者の僕は「うわ!sucreamgoodmanの人いるやん!」と内心ソワソワ。でももちろん一方的にしか知らない。遠慮がちの僕は結局彼らに自分から挨拶することを諦めたのだった。

次に、初めてFRESHのレッスンに行った時にスタジオの真ん中(oSaamさんの真後ろ)でレッスンを受けていた男性を発見する。大柄で坊主のため、かなりいかつい印象を受ける…。でも、せっかくダンスをするために大阪に出てきたのに、同じクラスに通っている人に挨拶もできないでどうする!それに、もしここで多少気まずい思いをしても、どうせ自分のことなんか誰も気にもとめないだろう!と、なかば開き直りながらその大柄坊主の男性に話しかけてみた。

「あのー…FRESHのoSaamさんレッスンに通われていますか?先週、自分も受けさせてもらったんですが…」
男性「ん?おー!こないだ初めて受けに来てたやんね!お疲れ様!Hoofitも来たんやー!おーい、◯◯ちゃん!この子最近FRESHのoSaamさんクラス来だした子やねん!」

どうやらパートナーと2人で来ていたらしい、早速僕のことを紹介してくれた。というか見た目に反して全然怖くない…!むしろ笑った時に顔がくしゃっとなって、柔和な印象すらある。大柄で坊主というだけで怖そうと決めつけていたさっきまでの自分をたしなめたい…。パートナーの女性もとても優しく接してくれた。話しかけてよかった…。

今思えば、彼こそが大阪でできた友人の記念すべき1人目といえるし、今でも家族ぐるみの付き合いをさせてもらっている。もっというと、この初めての出会いから1年後に彼とチームを組んでいろんなイベントでショーケースをすることにもなる!そう思えば、どこでどんな縁が生まれるか、本当にわからないものだ。

さて、Hoofitは実にいろんな音楽がかかるパーティで、HIPHOPはもちろん、DiscoやHOUSE、R&Bなどなど、多様なブラックミュージックを贅沢に聴けることに新鮮な驚きと喜びを感じた。先述の通り、会場のサウンドも迫力があって心地良い!フロアにいるダンサーが、狭いスペースでも遠慮なくガンガン踊っているのも新鮮な光景だった。

この会場、[Night Wax]は残念ながら2016年頃に移転が決まり、レコード店のみの経営にシフトした。当時の僕のアパートから自転車で5分程度の近所だったし、Hoofitをはじめ数々のgood partyが行われていた人気スポットなので、とても名残惜しかった…。

Hoofitはといえば、2023年の今もなお場所を変えながらディープなレギュラーDJ陣によって定期開催されている。コロナ禍もようやく終焉を迎えた今、パーティが各地で開催され、街を越えたアーティストの往来が再び盛んになっている。何気ない一夜でも一生ものの縁に繋がる可能性があることを改めて自分に言い聞かせ、お気に入りのパーティに遊びに行きたい。

Seiji Horiguchi

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