うまくあるな・きれいであるな・ここちよくあるな!

こないだ、休みの日に「岡本太郎展」に行ってきた。

平成生まれの僕は(1970年の方の)大阪万博をリアルタイムで経験している世代でもないし、大阪に引っ越してきてから8年の間、万博公園に遊びに行くこともない(ニフレルに1回行った程度)のでそこまで思い入れはないんだけど、結局のところ岡本太郎の何がすごいのか(評価されているのか)を知りたいのもあって足を伸ばした。

場所は今年2月に完成したばかりの中之島美術館。週末というのもあってかなり混み合っていた。どうやら無料で観覧できる岡本太郎関連のコンテンツもあるようで、そのスペースは凄まじく長い列ができていた。

中之島美術館について調べると「19世紀後半から今日に至る日本と海外の代表的な美術・デザイン作品を中心」にコレクション・展示されているんだとか。デンマーク発の家具ブランド[HAY]も美術館の1階に入っていたり、ぷらぷらするだけでも楽しい。(人が多すぎるので、週末に行くのはおすすめしない)

展覧の会場内は写真OKとのことなので、色々と撮ってみた。

岡本氏の専門分野は絵画かと思っていたけど、陶芸の作品も多かったし、評論やエッセイも書いている。1930年からパリで過ごしていたが、二次大戦を機に日本に帰国。パリにいた頃や戦時中の作品はほとんどが焼失して残っておらず、現存している作品は戦後に描かれた作品がほとんどとのこと。僕は恥ずかしながら絵のことは本当に何も分かっていないけど、あえて原色を多く用いる(当時批判も多かったらしい)というエキゾチックなスタイルや、線の太さ、そして攻撃性を帯びていると言っていいほどの存在感を放つキャラクターには、時間を超えて氏の存在を感じたし、何かしらの切実さ悲痛さすら感じた。

氏の功績として紹介されていたのが、芸術を大衆にも触れやすくしようとしたことらしい。芸術というのは専門家だけが鑑賞・批評するものではなく一般的な人たちにも開かれるべきだ、というのが氏の態度だったようだ。CMに出演したり、公共の場で誰でも見ることができる作品(太陽の塔なんかまさにそうだ)に力を入れたのはそういう意味があるとか。

氏の「でたらめをやってごらん」「うまくあるな・きれいであるな・ここちよくあるな」というパンチラインが特に好きだ。”枠にとらわれない“、”既存のスタイルを疑う“という姿勢はダンスにおいても必要だと思うし、HIPHOP自体もそうやって突然変異的に生まれ、枝分かれし、成熟してきた文化だ。僕らももっともっと枠からはみ出た表現に挑戦すべきなのかもしれない。もちろん「既存のスタイルをないがしろにする」という意味ではない。枠がなければ逸脱もないからだ。僕らは先人のスタイルに敬意を払ったうえで自分たちにしかできない表現、ひいては生き方を模索すべきなんじゃないだろうか。

と、多少脱線してしまったが、結論として見に行ってよかった。絵のことはよく分からないけど、「なんかすげー」と思うだけでもいいと思うし、「よく分からないから触れない」ではなく、「よく分からないものに飛び込む」ことこそ、ノンバイアスで表現に触れる貴重な芸術体験ではないか。…と、それらしいことを書いておしまいにする。

なお、この展覧会は10/2(日)まで開催されている。オフィシャルサイトはこちら。
https://taro2022.jp

Seiji Horiguchi

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