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アメ村放送倶楽部 vol.13 kzyboost

2021.06.25

アメ村放送倶楽部 vol.13
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ゲスト : kzyboost
コメンテーター : TAKUYA
インタビュアー : Seiji Horiguchi
※2020年9月18日のインタビュー。


Seiji : 本日も始まりました、アメ村放送倶楽部!本日のゲストはトークボクサー/トラックメイカーのkzyboost(カズヤブースト)さん、またコメンテーターにFRESHのスタッフでありインストラクターでもあるTAKUYAに来てもらっています。お二人とも今日はよろしくお願いします!

kzyboost/TAKUYA : よろしくお願いします!

1, ダンスのレクチャーDVDで受けた衝撃。Co-thcooとの出会い。

Seiji : まずは簡単にkzyboostさんのプロフィールを紹介させていただきます。


kzyboost
大阪・東京を拠点にビートメイカー/トークボクサーとして活動。2019年1月にThe Sleepers Recordzからリリースされた『Callin’ U』を皮切りに、ライブ活動を各地で行い様々なアーティストと共演。2020年には自身のEP『Stepwise』をリリースするなど、ライブ・楽曲制作共に精力的に行っている。


Seiji : プロフィールにある通り、近年急速に活動が活発化しているkzyboostさんですが、ダンスの後輩であるTAKUYAもせっかく来てくれているので、前半ではkzyboostさんのダンサーとしての顔に迫りたいと思います。まずダンスとの出会いから教えていただけますか?

kzyboost : 僕らの世代は多いと思うんですけど、入りは「少年チャンプルー」ですね。そこでPOPPINGを見たのがきっかけです。



kzyboost : でも当時はYoutubeも今ほど発達してなくて、とりあえずネットで調べてみたら『ダンススタイルPOPPING』っていうレクチャーDVDが出てきたんですよ。
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Seiji : 懐かしいですね!自分はLOCKのバージョンを友達から借りてずっと観ていました。

kzyboost : それを見ながら自分なりに練習していて、気づいたらどっぷりはまっていきました。レクチャーもですが、特にDVDの後半で流れるサイファーの映像が好きでね。とにかくレジェンドダンサーがいっぱい出てたんですけど、なかでもCo-thcooのKEIさんに衝撃を受けました。髪が長くてバンダナ巻いて目も隠れてて…もう全部がカッコよくて「なんやこの人…!!」ってなりましたね。Co-thcooで踊ってるシーンで、GUCCHONさんとKEIさんが目を合わせるシーンがあって、それがめちゃめちゃかっこいいんですよ!食らいまくりました。それが高2とか。で、大学に入ってからKEIさんのレッスンに初めて行きました。

Seiji : ダンスを本格的に始めたのは大学からですか?

kzyboost : あ、でも高校の頃「DANCE ATTACK!!」に出てましたよ。頭に星型が残るような髪型にして出場したりね(笑)

TAKUYA : 星型!めちゃめちゃファンキーですね(笑)

Seiji : 聞いたところによるとkzyboostさんとTAKUYAは同じダンスサークル出身だそうですね。

TAKUYA : そうです。所属してる期間は被ってないんですけど、カズヤさんの噂だけは先輩から聞いてて。ある日、サークルのバトルイベントにスーツケースを転がしながらカズヤさんが入って来たんです。それが出会いですね。ちなみにバトルもしっかり優勝して帰っていきました(笑)

kzyboost : めっちゃだるい先輩やん!(笑)

TAKUYA : (笑) 自分がサークルに所属してる時はそこまでカズヤさんと絡みはなかったんですが、それからしばらくして入らせてもらったクルーの「MurderInk.(マーダーインク)」でお世話になりました。このMurderInk.の先輩はみんなかっこよくてクレイジーな人しかいないですね。そこでカズヤさんも…その…

kzyboost : めっちゃ言葉詰まってる!(笑)

TAKUYA : いやー…結婚式の二次会とかでぶちかましてるカズヤさんの姿を見てきたので(笑)

kzyboost : でも俺はMurderInk.の中でもまだ真面目な方やろ?

TAKUYA : いやいや十分ぶっ飛んでます!(笑)

kzyboost : そうかなあ?MurderInk.には自分の同世代が多くてね。SATOCI、Ricky、RIKU、TANMEN…とにかくおもろい奴らが集まったクルーですね。みんな最高です。

【GUEST DANCE SHOWCASE】MurderInk. - @DROPOUT

2, 知識0から始めたトークボックス。気づけばワールドワイドなミュージシャンに。

Seiji : 大学生の頃は、音楽との距離はどのような感じだったんですか?

kzyboost : 学生の頃は良い音とか良い踊りを体感できる環境にはいさせてもらいましたね。KEIさんにレッスンで使った曲を教えてもらったり、POPPERが集まるイベントに連れて行ってもらってDJ BATSUさんがかっこいい音楽を流しているなか、大阪の大御所ダンサー達がセッションしている様子を目の当たりにしたり。環境は恵まれていました。でもまさか自分が音楽を作る側になるとは思ってなかったですね。ショーの音源編集くらいしかしてなかったです(笑)

Seiji : 音楽を作る側になるきっかけはなんだったんですか?

kzyboost : 社会人になってから東京のハン君というポッパーにトークボックスをやりたいと話していたらトークボックスをくれたんですよ!もらったからにはやるしかない!と思ったけど最初は全くできなくて。線の繋ぎ方もわからないくらい(笑) でもG-Funkもめっちゃ好きやったから「あんなんやれたらいいなあ」って思ってそこから毎日練習しました。

Seiji : なるほど。トークボックスと並行してビートメイクを本格的に行うようになったきっかけも何かありましたか?

kzyboost : ビートメイクに関してはKEIさんがビートを作られていたのがきっかけですね。レッスン前にPCをいじってはって

「これ何やってるんですか?」
「最近ちょっと音作ってんねん」


という話をした記憶があります。で、その時に教えてもらったMPCのアプリをいじってみたらめちゃめちゃ面白かったんです。トークボックスって、もともとあるインストの曲に演奏した音を乗せるという意味では、どちらかというとカラオケに近い感覚なんですよ。どうせやったらトラックも自分で作りたいと思って初めてのボーナスで機材を買って、そこからはもう夢中で毎日ビート作りました。

Seiji : 本当にすごい…。そうやって知識が0の状態から今の立ち位置に至るまでに相当な努力や経験があったと思うんですが、ミュージシャンとしての転機があるとしたらいつ頃でしょうか?

kzyboost : 2つあるんですけど、まず1つ目は2017年にSSのSHOW-GOがやってる「PARTY×PARTY」でライブをやらせてもらった時ですね。それまでも、SATOCIのDJと自分のトークボックスという二人でのライブは何回かやらせてもらってたんですけど、自分一人の枠をもらって大勢の人にライブを見てもらったのはそれが初めてでした。それからもう一つはイタリアのレーベル [The Sleepers Recordz]からアルバム『Callin’ U』を出したタイミングですね。
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この時が周囲からの反応としては一番大きかったです。「こういうやつがいるのか」というリスナーからの認識が広まった感じがありました。

Seiji : The Sleepers Recordzといえば、POPPER御用達の打ち込みサウンドをはじめソウルフルな曲が多くリリースされている大手レーベルですね。

kzyboost : レーベルから出すということが現実味がなかったですね!「レーベルってすげえな」ってぼんやり思ってました(笑)

Seiji : この『Callin’ U』が2019年1月リリースとありますが、ということはこの1,2年で急速に知られるようになったわけですね。

kzyboost : シンプルに嬉しいですね。ダンスもやってて音楽作り出して…。今後もこうやってダンス業界と音楽業界の架け橋的なポジションにいれたらいいなあと思ってます。…なんかちょっと真面目すぎますかね?(笑)

一同 : (笑)

3, トークボックス実演!! 曲の感情表現は顔から…?

Seiji : もしよかったらトークボックスとはどういう仕組みなのか、見せていただくことはできないでしょうか?

kzyboost : やりましょか!

(しばらく準備して機材を映す)

kzyboost : これがトークボックスです。アンプ/シンセサイザー/チューブからできています。キーボードを押すとアンプを通してチューブから音が出る仕組みですね。

(チューブをくわえて音階を順番に「ドレミファソファミレド」と弾くとトークボックス特有のシンセサイザーの音が流れる)

kzyboost : これで口の形を変えると…

「アーイーウーエーオー」(口の形とリンクしてシンセサイザーの音が変化する)

kzyboost : って感じになります。さらに子音を変える場合、例えば「か」と発音したい場合は、まず「k」を発音してから母音を「a」にする。この応用で歌詞を口で形づくりながら手でキーボードを弾くという要領です。トークボクサーって一見、自分で歌ってるように見えますが。音はチューブから出ていて、僕は音に合わせて口の形を変えてるだけです。

(『Keisha Cole / Love』 の一節を演奏する)

Seiji : すごい!画面越しとはいえ、こんな間近で見せていただくのは初めてです。kzyboostさんは英語の曲のカバーもライブで演奏されますが、英語を母語としない日本人にとっては英語の発音ってかなり難しいじゃないですか。でもkzyboostさんが洋楽を弾かれてる時、違和感がなくてネイティブの発音に聴こえます。

kzyboost : いやいやまだまだですよ!洋楽をずっと聴いてたからLとRの発音の違いはできてるかもしれないですが、“th”の発音なんかはまだまだ難しいですね。チューブを咥えながら“th”の発音するのがめっちゃ難しいんですよ!ずっとタバコを咥えながら喋ってるみたいな。

TAKUYA : 特に高い音を弾いてる時とか、顔は歌ってるように見えるんですが、カズヤさんが歌われているわけではないんですね!

kzyboost : 全部キーボードで弾いた音やね。確かにライブの時でも、知り合いからは「顔 顔!」って言われますけどね(笑) でも、その音楽の雰囲気を出したい時って自然とそういう表情になると思うんです。笑い声を出そうとすれば笑った表情になるのと一緒で。だから「楽器を弾いてる」というよりも、どちらかというと「歌ってる」に近い感覚です。

Seiji : 体全体で曲の雰囲気を表現するようなイメージなんですね。

kzyboost : はい。だからサウンドに感情を込めようとすると顔の表情も変わっていきますね。ムードのある曲を弾く時は、どうしてもエロい顔になってしまいますよね...!

TAKUYA : (爆笑)

kzyboost : TAKUYAお前ちょっと笑いすぎやろ!(笑)

TAKUYA : はい!すみません...!

4, コロナ禍の中でもリリースラッシュ! 飛ぶ鳥を落とす勢い。

Seiji : 2020年のkzyboostさんのリリースを調べてみると、国内のアーティストとの作品が非常に多いことがわかりました。

◉4月5日シングル『Be Calm』
◉5月1日 Phat Mellowz West(with Yotaro)『Phat Mellowz West』
◉5月4日 シングル『Pulse.』
◉5月15日 EP『Stepwise』
◉5月23日 アルバム『drivin‘』(with 1Co. INR)
◉6月12日 groovemanSpot 『Resynthesis』客演参加
◉6月19日 シングル『Rainy Girl』feat.kenT
◉12月9日 アルバム『Keep Smoovin‘』

Seiji : なかでも活動の面でもプライベートの面でも関わりが深いのはgrooveman Spotさんなのかなと。

kzyboost : グルスポさんはずっと憧れのアーティストでした。大阪のイベントにゲストDJで来られた時にsucreamgoodmanのDYさんが紹介してくださって「kzyboostっていう名前でトークボックスやってます!宜しくお願いします!」って緊張しながら挨拶したのを今でも覚えてます。その出会いが色々一緒にやらせてもらうようになったきっかけです。だからDYさんのおかげですね!そうやって周りが繋げてくれたり機会をくれたりするので、ほんまにありがたいです。

Seiji : それを確実にものにしていく力も素晴らしいと思います。しかも昼間は普通に仕事もされながらというのが信じらないです!正直2020年はかなり忙しかったんじゃないですか?

Kzyboost : 全然ですよ。2020年4月から転勤でまた東京に戻ってるんですけど時間は意外と作れてるので。東京の家は機材を置いてる部屋があってその隣の部屋で寝てます。ドラゴンボールの「精神と時の部屋」みたいですね(笑)
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Seiji : 1Co. INRさんとのアルバム『drivin’』もめちゃめちゃかっこいいです。部屋の中で聴けるようなCHILLな雰囲気もありつつ、それでいて爆音でかけてがっつり踊りたくなる曲がたっぷり入っています。個人的に一曲目の『#1』が特に好きです。
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kzyboost : もともとNICKELMANさんと1Co. INR君とÄuraちゃんの曲『BLUECITY』を聴いてたんです。で、1Co. INR君と広島のイベントで一緒になった時に自分から声をかけて仲良くなりました。この『drivin’』のジャケットもÄuraちゃんに描いてもらいました。

Seiji : そうなんですね!さらにそのÄuraさんとkzyboostさんによるシングル『monologue』も先日リリースされましたね!そうやってkzyboostさんの周りのアーティストが次々つながって新しい作品が生み出されていくという印象があります。そうやってプロジェクトを企画したり進めたりしていくうえで何か意識されていることはありますか?

kzyboost : 「かっこいい」って思う人がいたら自分からアクションするようには心がけていて。最近だったら静岡に住んでるAru-2のとこに遊びに行かせてもらったりとか、Yotaroはありがたいことに向こうから声かけてくれましたね。あとは関西だったらDhrmaとか。色々出会いがありますね。

Seiji : 最後に今後の展望などあれば聞かせていただけますか?

kzyboost : いずれは大阪に戻ろうと思ってるんで、東京にいる間に活動の幅を広げれたらなと思います。あとゆくゆくは海外のアーティストとも作品を作ってみたいという目標もあります。自分の音を送って聴いてもらって一緒にできればいいなぁと。それから音楽とダンスをもっと近づけていけるような存在になりたいですね。みんなに「そういえばそんな奴おったなあ」って覚えてもらうくらいで全然いいので。そういう歳の取り方したいですね。大阪のOLD SCHOOLの先輩ってもうかっこいい人しかいないし、自分もずっとその背中を見てきたんで、そういう存在に少しでも近づきたいです!

Seiji : 僕らからすればもう既にそういうヒーロー的存在ですよ!貴重なお話や、トークボックスの演奏までありがとうございました!本日のゲストkzyboostさん、そしてコメンテーターにTAKUYAでした。ありがとうございました!

kzyboost/TAKUYA : ありがとうございました!

[筆者あとがき]
このインタビュー時(2020年9月)から彼はさらに活躍の場を広げ、音楽フェス[CIRCUS×CIRCUS]出演、G.RINA『close2u REMIX』トラックプロデュース、さらに2021/6/16リリースのDaichi Yamamoto 2nd Album『WHITE CUBE』への参加など、目覚ましい躍進を遂げている。これはひとえに彼の地道な努力と、どんな現場やプロジェクトであっても自分の全力を注ぐという姿勢から生まれたものだろう。また個人的に、彼の音楽からは音楽を生み出す純粋な愉悦と共に制作する者へのリスペクトが感じられる。ため息をつきたくなるネガティブな話題が多いコロナ禍にあって、我々が本当に必要にしているのは彼のようなアーティストが前向きなヴァイブスで生み出したダンスミュージックではないだろうか。


インタビュー/文 : Seiji Horiguchi
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