週末アメ村放送倶楽部 vol.7 "GON”
ゲスト :
GON(サカナウマゴン)
ホストMC :
Seiji Horiguchi※2020年7月10日(金)のインタビュー
Seiji :
みなさんこんばんは。アメ村放送倶楽部のお時間です。今日のゲストはfromサカナウマゴン、そしてBar、Bazooka Channelより、GONさんです!GON : はい!宜しくお願いしますー!
Seiji :
ちょうど今、Bazooka Channelの周年ウィークということで、今日は僕がBazooka Channelにお邪魔しております。GON : 皆さんありがとうございます!今年で12周年です!
Seiji :
GONさんは店長に就任してからどれくらい経ちますか?GON : 一年半くらいかな?
Seiji :
そのくらいなんですね!もっと前から、Bazookaにいるイメージですね。バーの店長の一日ってどんな流れなんですか?GON : 15:00に起きて、レッスンある日はレッスンして、21:00からBazookaをオープン。5:00にしめる予定やけど、5:00に終わることは少ないかな。周年の期間なんかは5時半とかもっと遅くまで開いてる時もあります。
Seiji :
Bazooka Channelはどんなお客さんが多いんですか?GON : やっぱりダンサーが多いね。あとはDJやラッパー。基本はストリート寄りかな。うちのオーナーのSHOHEIさんがダンサー出身で、ストリートに近い位置にいるからお客さんもそういう繋がりで来てくれる人が大半ですね。
1, 誰も真似できないチーム、サカナウマゴンの結成秘話
―サカナウマゴンに関しては性格のままのダンスをしてる。かっこつけるのとかも大事やけど、俺らは「ハッピー」でいこうってなった―
Seiji :
なんとこの夏、サカナウマゴンが久しぶりのショーケース復活ということで。FRESHプレゼンツのVillage Campで踊っていただきます。GON : 1年以上ぶりですね。
Seiji :
チームについてのお話を掘り下げてお聞きできたらと思っています。まずはGONさんの話から聞いていきたいんですが「GON」という名前の由来から聞いてもいいですか?GON : Jリーグのゴン中山からですね。苗字が中山なので、小学校の頃から「ゴン」って呼ばれてました。
Seiji :
サカナさん、馬さんとの出会いはどれくらい前になるんでしょう?GON : 二人が二十歳くらいの時ですね。ちなみにサカナが自分より7個下で、馬が8個下です。
Seiji :
そうなんですか!そんなに年が離れているように感じないですね。チームが結成した経緯について聞かせてもらえますか?GON : ある日、急に知らん番号から電話かかってきて、
馬 : 「僕、イベントでバタフライを褒めてもらった馬です」
おれ : 「あ、覚えてるよー」
馬 : 「一緒にチームを組んでもらえないですか?」
おれ : 「いいよー!」
っていうやりとりをした。で、まずはウマゴンっていうチームで活動を始めました。
Seiji :
初めは2人チームだったのは初めて知りました!GON : ユニットみたいな感じでしたね。そこから少ししたらまた馬から連絡があって。
馬 : 「サカナっていうダンサー知ってますか?」
おれ : 「おー知ってる知ってる。あのニュージャックめっちゃ上手い子やろ?」
馬 : 「その子をチームに誘いたいと思っているんですがどうですか?」
おれ : 「いいよー!」
この流れで、サカナウマゴンができました。
Seiji :
テンポよく話が進んでいったんですね(笑)GON : サカナに関してはサカナウマゴンを組んでから喋ってるからね。それまで絡みがなかったから。
Seiji :
かなり珍しいパターンですね。ちなみにチームを組んだ頃から既に「コンテストに出よう」など目標はあったんですか?GON : それはなかったな。ディライトは出るときは、だいたい馬が勝手にエントリーして「エントリーしましたー」って報告してきて俺とサカナが「わかったー」って返事して出るって流れやった(笑)
Seiji :
そこのノリも軽いんですね(笑) 3人で結託して「よっしゃ行くぞ!」って感じではないんですね。チームの中でもめたりとかもほとんどなさそうですよね。GON : 昔はしたかな?俺はサカナと馬の踊りのセンスに対してものすごい劣等感があって。一回「俺はチームを抜ける。二人でやった方がいいんちゃう?」って言ったことがあるくらい。でもそこから、自分があいつらに勝てるものってなんなんやろって考えた時にいわゆる”HIP HOP感”なんかなーと思って。そこから「HIP HOPってなんなんやろ」って自問自答した結果、ブレイキンにたどり着いてトップロックをしだしました。
Seiji :
そういう心境やスタイルの変化も経た結果、あのサカナウマゴンのバランスが生まれたんですね!サカナウマゴンのショーは全国的にファンも多いと思うんですが、ショー作りはどうやって進んでいくんでしょうか?GON : 基本的に全員受け身の人間やねんな。みんな「なんでもいいよ」の考えというか。なんかアイデア出たら「うん、それでいこか」みたいな(笑)
Seiji :
それを聞くと、あのラフなネタも腑に落ちる気がします。JDDの舞台で、あのシンプルなルーティンができるのはサカナウマゴン以外いないです。GON : 確かJDDのネタは、曲編含めて2,3日とかでできたと思う。
JAPAN DANCE DELIGHT - SPECIAL PRIZE サカナウマゴン (2015)
Seiji :
それからサカナウマゴンといえば、音編の発想力にも毎回驚かされます。3人がソロで使う曲ってかなりジャンルがバラバラですし、その分編集は相当頭をひねるんだろうなーと思います。でもタイミングもバッチリですし、意外性もあって笑えるところもあって。GON : あれは馬が「GON君とサカナ君の好きな曲それぞれ2曲送ってください」って言って、俺らは曲のデータを送るだけで、会った時にはもう曲編ができてる状態やねん(笑)
Seiji :
え、完成した状態で馬さんが持ってきてくれるんですか?GON : 3パターンか4パターンくらい持ってきてくれる。で、その時に「このバージョンの音源はこういうイメージでこういう見せ方なので、それを踏まえて聴いてください」って説明してくれて。俺らがそのパターンの中から「これが好き」って選ぶ流れ。だから、全部馬やねん。馬がすごい。あいつの中のイメージはMO’PARADICEやねんな。メガミックスみたいな。
MO’PARADISE 1997 - CLUB HEAVEN YOKOHAMA
Seiji :
なるほど。馬さんの頭の中で、曲の流れのイメージとそれにハメるネタのイメージが描かれているのかもしれないですね。そうじゃないとあのトリッキーな構成は出てこないと思います。三点倒立なども!JAPAN DANCE DELIGHT vol.20 FINAL(2013)
GON : そうやと思う。あれは「ヘッドスピンしたら沸くんちゃう?でもできひんから二人で足持っとこか」ってなって。
Seiji :
そういったアイデアは3人で出し合うんですか?GON : 面白い系のネタは馬がアイデアを出してくれる。でもたまにそのアイデアが行き過ぎる時があってさ。その時にちらっとサカナの方見ると、死んでる目をしてるから「あ、これはないんやな」ってブレーキかかる(笑)
Seiji :
ある意味サカナさんのジャッジが下るんですね(笑) サカナさんは静かで穏やかなイメージですが、練習してる時やネタ作りのときは意見を言ったりもされるんですか?GON : 好き嫌いとかは言うかな。あとサカナの動きを見て馬が「それ入れたい」って言うときもある。リーダーは馬やけど裏リーダーはサカナみたいな。
Seiji :
GONさんは…?店内からのガヤ : 出っ歯担当やろ!!!
GON : 出っ歯ちゃうねん!歯ないねん!
Seiji :
(笑) いろんな担当がありますね(笑) 三者三様のスタイルが詰め込まれていて、かつ お笑いのネタも入れるというのが斬新ですよね。しかもちゃんと湧きます。GON : もともとはゴリゴリHIPHOPも好きやし馬もREDRUMっていうチームでめっちゃ活動してたんやけど、いかつい仕草とか煽るような仕草をやるのが恥ずかしくなったって言ってたな。「自分はそういう性格じゃない」って思ったらしくて。だからサカナウマゴンに関しては性格のままのダンスをしてる。かっこつけるのとかも大事やけど、「かっこいい」っていう枠でHEX BEXとかD’OAMとかELECTRIC TROUBLEとかに勝てると思えない。じゃあ俺らは「ハッピー」でいこうってなった。日本語ラップで言うところのスチャダラパーみたいな感じやね。スチャダラも、ビートはかっこいいけどリリックは日常的やったり笑えるような曲が多いやん。
スチャダラパーのテーマPt.2 @スチャダラ2016 ~LB春まつり~
Seiji :
無理をせずに自分たちの共通項を見つけると言うところが重要ですね。それが自分達にとってのリアルだと言えるような。GON : うん。お笑いで言えば、みんなが松本人志を選ぶところを自分らはダチョウ倶楽部みたいなね。でも最初はめっちゃディスられたよ!唯一「めっちゃいい!そのままでいけ」って言ってくれたのがHONGOU君やねん。
Seiji :
そうだったんですか!でもサカナウマゴンのショーケースでは、普段の人柄というか、3人のいつものテンションだったり空気感がそのままステージに立ってもあり続けるという感じですよね!GON : まず衣装とかもないからね(笑)
Seiji : 周りのチームとの温度差が全然違ったんじゃないですか?Old Schoolのチームなんかはビシッとスーツできめて出場されたりというチームもありますが。
GON : 横浜でやってたディライトは会場にポシェットだけ持ってきて、服は会場に来たまんまの格好で踊ったね。本番が終わって、他のチームがみんな息上がってゼエゼエ言ってる中俺らは「お疲れ様でした~!」ってそのままの格好で帰っていったからな(笑)
Seiji : 今回のVillage Campに向けてのネタの見どころはどこでしょう?もちろん言える範囲で大丈夫ですが。
GON : ハッピーですね。まず最初は、にゃんこスターの「グーポーズ」から始まります(笑)
Seiji : あれが久しぶりに見れるわけですね(笑)
GON : 俺がお笑いが好きやから、いつも小ネタを仕込んでるんですよ。千鳥の移動カットとか、ダチョウ倶楽部の「どうぞどうぞ」とか。で、今度のネタで入れようとしてるのはダイアンの津田。
Seiji :
「ゴイゴイスー」が見れるんですね!(笑) ていうか、だいぶネタバレしてしまいましたね(笑) Village Camp皆さんお楽しみに。GON : 仲の良さは出てると思う!是非みて欲しいですね。豪華なショーケースの箸休めにでも。
Seiji :
いやいやお腹一杯になりますよ!というわけで本日のゲストはサカナウマゴンより、GONさんでした。ありがとうございました!GON : ありがとうございましたー!
[筆者あとがき]
積み重ねたダンススキルと、意外性No.1のショーケースで、日本のダンスシーンに旋風を巻き起こしたサカナウマゴン。そんなアイコン的存在な彼らにも、もちろん葛藤があった。しかし既存のスタイルに縛られる事なく自分達と向き合った彼らだからこそ、生み出すことができたスタイルがあり、見ることができる景色があるのだろう。
今はそれぞれの生活もあるかもしれないが、彼らの開拓マインドを我々は忘れてはいけない。それこそがHIPHOPの精神そのものなのだから。
インタビュー/文 :
Seiji Horiguchi