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アメ村放送倶楽部vol.3 "BOXER JUNTARO"

2020.09.09

週末アメ村放送倶楽部 vol.3 BOXER JUNTARO"

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ゲスト : BOXER JUNTARO
コメンテーター : 奇々 a.k.a シロトユイ
ホストMC : Seiji Horiguchi
※2020年5月29日(金)のインタビュー



Seiji : 本日で3回目を迎えた放送倶楽部。今夜のゲストは絵描きのBOXER JUNTAROさんです!

JUNTARO : よろしくお願いします!

Seiji : そして今回のコメンテーターには青森出身、大阪在住のグラフィティライター、奇々ちゃんに来てもらっています。お願いします!
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奇々 : こんばんは。お願いします。


1, 絵描き、BOXER JUNTAROの誕生

―二十歳すぎくらいの頃にどう生きていくかを考えたら「絵しかないなぁ」ってなって―

Seiji : JUNTAROさん、最近の生活はいかがですか?やはりコロナウイルスによる影響は出ていますか?

JUNTARO : 他府県とか海外とか「移動して行う仕事」は無くなってはいるけど、それ以外のデザインの仕事とかは通常通りありますね。デザインの仕事って結局テレワークやからね。データを作って先方に送ってやりとりしているので。

Seiji : なるほど。確かにそうですね。ただ僕の中では、JUNTAROさんはパーティでのライブペイントだったり街中のウォールペイントだったりブランドとのコラボだったりと、賑やかな中で描かれているイメージが強いです。

JUNTARO : それはイベントで見るのが多いからやろ?普段は孤独やで(笑)

一同 : (笑)

リスナーからのコメント 「BOXER JUNTAROの名前の由来を教えてください」

JUNTARO : ボクシングやってたからです。そこに下の名前くっつけただけですね!

Seiji : ボクシングはいつからされてたんですか?

JUNTARO : 20年以上前やね。相当昔。

Seiji : 20年前!絵を描くよりも前ということでしょうか?

JUNTARO : 絵は物心ついた頃からずっと好きで描き続けてるからなぁ。

Seiji : なるほど。じゃあ物心がつく頃にはすでに描いていたんですね!幼少期から絵を描くことが好きだったところから、それを仕事しようと思ったきっかけが気になるところです。

JUNTARO : まず自分は順序立てたり組み立てて考えれるタイプじゃないと思っていて。例えば絵を描くことを仕事にしたいと思ったら、いろんな選択肢を考えて「どういうことをしないといけないか」っていう道筋を立てれる人もいるやん?俺はそういうのじゃなくて二十歳くらいの頃にどう生きていくかを考えたら「絵しかないなぁ」ってなって。「絵で商売をしようとしたらどんなのができるかな」って考えてそこからいきなり動き出した(笑)

Seiji : 社会で生きていくことを考えた時に「これだ」と思ったんですね。

JUNTARO : でも絵の世界に出てきた時、右も左もわからんし知り合いもいない状態やった。そもそも専門学校を出てないからそっち系の仲間はいなくて。もちろんSNSもないし。だからやる気で切り抜けるしかなかった。そういうのを切り抜けていくとやっぱりこういうグイグイいく感じの人間になってしまうよね!(笑)

Seiji : グイグイですか(笑) ではJUNTAROさんにとって師匠に当たる人はいないんでしょうか?

JUNTARO : いないです。あと逆に「弟子はいますか?」って聞かれることもあるんやけど、いないです。「弟子にしてください!」って一切誰も言ってこないっすね(笑) そんな縛ったり、かこったりすることもないのにな。自分は10年前くらいからライブペイントを始めさせてもらったんやけど、それ以前は自分が描いたものが世の中に出回るってだけやったんよね。描くところは見せるもんじゃないって思ってた。

Seiji : 先ほどの「孤独な戦い」の話に戻りますね!(笑)

JUNTARO : ライブペイントをさせてもらうようになった頃は「ほんまにこれ、JUNTAROさんが描いてたんですね」ってよく言われたね。俺がこういう画風を描けると思わなかったみたい。俺が大工の棟梁みたいに後ろに立って誰かに描かせてると思ってる人もいたみたい(笑)


2, 絵に表れるBOXER JUNTAROのポジティブな性格

――自分が自分にとっての一番の応援者にならなあかん―

Seiji : 確かにご存知の方も多いですが、可愛らしくてニコニコした表情のイラストがJUNTAROさんの代名詞だと思うんですが、確かに描くところを直接見ていないとギャップはあるかもしれないです。「BOXER」という名前からもかけ離れているように感じます。

JUNTARO : まあでも、ギャップはないより合ったほうがいいやろ?(笑)

Seiji : そうですね(笑) では小さい頃から漫画を真似して描いたりしているうちにスタイルができてきたという感じでしょうか?

JUNTARO : うん。自分らの世代ってやっぱ漫画の人気が伸びた時代で。同世代の著名な人も「ある程度のことは少年ジャンプに習った」って言う人も多いね。愛とか友情とか人間形成に必要なものがジャンプに詰まってたんよ。もちろんジャンプ以外の漫画もやけど。

Seiji : JUNTAROさんの画風において、明るさ・ポジティブさというのは大きなキーになると思います。駆け出しの頃はどのように活動されていたんですか?

JUNTARO : 出だしの頃は、しんどくてしんどくて。どこかに所属して働きながら勉強させてもらって自分の事務所起こして…っていうのが自分にはなかったから。もがきまくってましたね。2年目くらいで自分のデザインをプリントした服を作って、3年目にBEAMSと仕事させてもらうようになって。でもやっぱりファッションと一緒で波があるから「どうしたものか…」って考える状況もあった。どんな状況でも応援してくれる人が一人はおるかもしれんけど、そういう人さえもおらんかったらどうしよう…って思う時あるやん?そういう時は「自分が自分にとっての一番の応援者にならなあかんな」って考えるようになった。やからポジティブになれた。それが自信(=自分を信じる)っていうことかなって。やっぱりそれが絵にも出てくるしさ。

リスナーコメント : 描くときに心がけていることはありますか?

JUNTARO : 「楽しくハッピーに」ですね。ハッピーな状態で描いたらハッピーなものが描けると思う。結構いろんな人とこの話になるんやけど、絵って描いてるその人が出るんやと思う。俺の絵も「全部JUNTARO君みたいだね」ってよく言われる。俺が他の人の絵を見ていってる時も「そっくりやん」って思う時もあるし。ひねくれた奴はひねくれた顔になるし。俺はハッピーでワクワクした絵が描きたいから。

Seiji : 表現にその人の性格がにじみ出るというのは、あらゆる表現に言えることですよね。ダンスもDJもラップも。

JUNTARO : そうそう。ダンスで言えば、繊細な人は繊細な動きになるやろし大雑把な人は大きな動きになるやろし。

Seiji : 最近で言えば、本町のおおきにビルにもJUNTAROさんの巨大な作品を見かけた方も多いのではないでしょうか?めちゃめちゃ目立ちますし見応え十分ですよね。
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JUNTARO : 仕上げの段階が3月の頭とかで街は自粛期間に入ってたから、ほぼ人が出歩いてない時でギャラリーいなかったから寂しく描いてた(笑)

Seiji : 「孤独な戦い」ですか(笑)

奇々 : あれはビルの上部まで一人で描いていたんですか?

JUNTARO : あれ複雑なのよ。ビルの四面を一枚の絵で巻くようにした。だから難しかったな。ビルの下の方の部分は直接ペイントしたけど。

Seiji : それからJUNTAROさんのSNSを見ている方も多いと思うんですが、時事ネタだったりタイムリーなニュースをあげられるじゃないですか。スポーツ選手が記録を打ち立てた時なんかもすぐあげられたり。何か意識してることはあるんでしょうか?

BOXER JUNTARO Instagram

JUNTARO : 表現者ってスピードが大事やと思ってて。良いものを作るのもやけど、スピードとタイミングが大事やと思うから何か目に付くものがあると描きたくなる。

Seiji : SNSでの投稿だけではなくステッカーまで作ったりもされますよね!志村けんさんが亡くなった時にはステッカーを作られたり。
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3, サンプリング?盗用?自分の作品への価値の付け方。

――リスペクトがあって貫きまくってたらオリジナルから認められると思う―

Seiji : そのステッカーの話にも通じますが、JUNTAROさんも普段からキャラクターやブランドをサンプリングして作品に落とし込んだりされていますが、そういう「サンプリング、オマージュ、模写」といった部分ってセンシティブなゾーンだと思うんです。「サンプリングか盗用か」はアートの世界において紙一重だと思うんですが、JUNTAROさんはどのような考えですか?

JUNTARO : まずサンプリングしようか何しようがオリジナルへのリスペクトが必要不可欠だと思う。やっぱりリスペクトのないやり方をしてる人が結構いるからね。アートにしてもリスペクトがない時って、見たらわかるやん?どう考えてもいがみ合ってるとしか見えない。 最近疑問に思うのは、スヌーピーとかシンプソンズとか有名なキャラクターをそのまま描いてる人も多いやん?「どう考えても訴えられるやん」って思うし、現代アートっていうのか何なのかわからん。しかも「誰でもできるやん」って思ってしまう。逆にリスペクトがあって貫きまくってたらオリジナルから認められると思う。有名なところで言うとアンディ・ウォーホルっていうライター。もうディズニー側が認めてしまったからさ。ライターの大御所のSLICKもミッキーの手のLAハンドのデザインもディズニーがOK出してるからね。
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Seiji : 公認なんですか!すごい!

JUNTARO : やってる側がそこにリスペクトがあるわけやん。いききってハッピーな感じになったらディズニーも悪く思わないしね。でもダンスのムーブなんかもそうじゃない?嫌な取り入れ方をしたら、オリジナルのダンサーからしたら嫌やと思うしさ。

Seiji : 確かにそれはディスやバイトに繋がりますよね。

奇々 : お聞きしたいんですが、自分がアーティストとして広く認知されてなかったり需要がない時期に「この作品が欲しい」って言ってもらった時に自分の作ったり描いたりしたものに対してどのくらいの価値をつければいいんでしょうか?

JUNTARO : プライスの部分か。絵に関しては難しいけど、いろんなアーティストの個展を回って「このくらいの人だったらこのくらいの値段をつけているんだな」ってリサーチするのがいいんちゃうかな。色々回っていくと相場がわかってくると思う。けど人それぞれの部分もあるからそこが難しいところやんね。同じ物差しで測れないところがあるから。

奇々 : 確かに…。

JUNTARO : あとはシンプルにどれくらいの時間がかかってるかで決めるのもアリやと思う。例えば一枚の絵を描くのに一週間かかったとして、それに対してどれくらいお金をもらえたら生活できるのかっていうのを当てたらいいんちゃうかなって思う。キャンバスのサイズによって計算していくことも必要やね。壁に描いたりとかイレギュラーな場合はまた違うけどね。仕事としてやりたいなら、「これだけの時間かけてやってるってなったらこれだけもらわないといけない」っていうラインが出てくるやん?

Seiji : 駆け出しの頃って自分の仕事に価値をつけるということに苦労しますよね。

JUNTARO : プロモーションになるって考えてプライスを低くする手もあるけどね。いろんな人が出入りするお店だったら「無料でもやりますよ」ってなることもあるやん。そういうのを積み重ねていったらそういう依頼も広がるやろし。あとフリーランスの場合はセルフプロモーションができないと難しいとは思う。誰もプロモーションしてくれへんからね。やっぱり俺らアーティストは見てくれる人やったり買ってくれる人がいないと成り立たへんわけやん?営業も自分がやるわけやし。そういうコミュニケーションも大事だったりする。

Seiji : 確かにJUNTAROさんの絵がいろんな飲食店で見られるのも、コミュニケーションの上手さあってこそですよね。

JUNTARO : もうね、誰よりも飲んでると思う!肝臓が大変っす(笑)


リスナーからの質問コーナー

リスナーからのコメント : 「色味という観点で影響を受けた作品(映画とかでも)はあったりしますか?」

Seiji : Yacheemiさんからの質問ですね。

JUNTARO : 自分はリュック・ベッソンの映画が好きで。「レオン」とか「フィフスエレメント」とか。色味で言ったらあの人の初期の「グランブルー」っていう素潜りの映画とか。あとは「アンジェラ」っていうモノクロの映画やねんけど、白と黒じゃなくて無限の色がそこにある映画で。リュックベッソンも「モノクロは白と黒じゃない」って言ってて。それをみて、一番すごい色って白と黒やねんなって。「アンジェラ」は見て欲しいな。

Angel A - Official Trailer(2005)


Seiji : 映像を見る時も色の観点から見たりもするんでしょうか?

JUNTARO : ずっと意識してるわけじゃないけど、映像自体に感動する時はあるよね。塔の上のラプンツェルとかもすごいと思う。灯籠が上に登るところとかね。あれすごいやん!



奇々 : 自分もめっちゃ好きです!

Seiji : Yacheemiさんから更に質問が来ていますね!「好きなCDのジャケットはありますか?」

JUNTARO : 好きなCDのジャケットか。好きなのはサイボーグの女の人をモチーフにした絵を描いたりしてる空山基さんとか。ハイブランドともコラボして、昔はエアロスミスのジャケット描いたりしててん。あとはサザンのジャケットも描いてた永井博さん。
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JUNTARO : やっぱり音楽の世界もアートが溢れてるからね。レコードをディグる時ってジャケットの方から見たりもするやん。アルバムのジャケットを描いてもらうってミュージシャンからするとだいぶ大事なところやからね。

他の方からのコメント「テンションが落ちた時に持ち直す方法はなんですか?」

JUNTARO : テンションを上げる方法かぁ。個々で違うと思うけど、鍛錬やと思うな。基本的に自分は「できない」って思わないから。例えばここに収まりきらないくらいのでかい絵でも、描こうと思ったら描けるんよね。「アトリエがないから」とか「広い場所がないから」とかそんなん関係なくどうにか描いてきた。横に誰かがおろうが、その環境の中でどう描くかの問題やと思う。やから最終的に大事なんは…気合いやね(笑)

Seiji : 以前FRESHでインタビューをさせていただいた時も、「描く環境によって画材を柔軟に変えていく」とおっしゃっていましたよね。予期せぬ事態になってもその時のベストを尽くすと。

JUNTARO : あんまり自分の中で「これしか無理や」っていうのを決めつけずにやった方がいいと思う。その場その場で合うものってあると思うし、常にチャレンジをしていくことやね。「今やってよ」って言われた時にその場でやれるくらいのスタンスの方がいいと思う。

奇々 : 場数も大事ですね。

JUNTARO : 例えばパーティの中でライブペイントやる時も、周りから見られてるわけやん?だからやり慣れてないと萎縮して普段通りにいかんこともある。ダンサーも一緒やと思うけど、何回もやってるうちに慣れてきて、練習よりも本番の方がより良いものが出てくるようになる。だから一番大事なのはやり続けることかな。

Seiji : その通りですね!インタビューもそろそろ終わりなんですが、JUNTAROさんから何かお知らせなどありますでしょうか?
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JUNTARO : 最近俺のマスクを作りました!よかったらチェックお願いします!

BOXER JUNTARO Official SHOP

Seiji : ありがとうございます。みなさん是非チェックしてください!というわけで本日のアメ村放送倶楽部、ゲストはBOXER JUNTAROさん、そしてコメンテーターは奇々 a.k.a ゆいちゃんでした!ありがとうございました!!

JUNTARO / 奇々 : ありがとうございました!!



[筆者あとがき]
BOXER JUNTARO氏との会話のキャッチボールはいつだって刺激的だ。次から次へと直球ストレートを投げ込まれる。一回り以上年下の自分にとっては必死に食らいつくだけで精一杯という時もある。しかし、そんな温かみのあるやりとりにエネルギーをもらっているのも事実だ。勘ぐりや皮肉などとは縁遠い彼の人柄と絵のスタイルは、悪いニュースが続く混沌の世において貴重な存在だということを、今回の放送を機に再確認した。

文/構成 : Seiji Horiguchi
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