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FRESH DANCE STUDIOプレゼンツ・インタビューシリーズMIO&MAHINA

2018.12.05

FRESH DANCE STUDIOプレゼンツインタビューシリーズ。今回は2名の女性ダンサーに話を伺う。大阪のGIRL’S HIPHOPの草分け的存在であるMIO。そして数多くのバトルで頭角を現し、全国にその名を轟かせているMAHINA(マヒーナ)。いずれも女性の力強さを感じさせる素晴らしいダンサーだ。
ここ数年、二人は”MIO×MAHINA”のユニットとしての活動も積極的に行っている。スタイルやファッションは異なるものの、二人が組み合わさった時のエネルギーと、ショーの完成度の高さには、誰もが心を奪われる。どんな化学反応がそこには発生しているのか。今回のロケーションは東心斎橋の中華料理屋。まずはビールで乾杯して、ゆっくりとインタビューは始まった。

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1, スタイルの違う二人の化学反応

本日はよろしくお願いします!早速ですが、お二人の初対面はいつ頃ですか?

MIO――キャレスのレッスンで一緒になった時ちゃうかな。たしか時間帯が一緒やって。更衣室で「おはようございまーす」て挨拶して。

MAHINA――大学も卒業してこっち(大阪)に住んでいた時なので22,3歳ですね。自分は愛媛にいる頃からMIOさんの映像を見てたので元々知っていましたよ。昔adhipがやってたクルーバトルにMIOさんも出てましたよね?その映像をビデオか何かで見てたんだと思います。それが自分が18とか19の時。

MAHINAさんにとってはもともとは画面越しの存在だったんですね。映像のMIOさんに対してどんな印象を持っていましたか?

MAHINA――めっちゃ可愛いって思ってました!

MIO――めっちゃ褒めてくれるやん(笑) クルーバトル出てたね!まだ(獅kakakekeの)JUNKOもいて、MTEちゃんとかとも一緒に出てたんちゃうかな?エミちゃん(MAHINA)と現場で会ったのは、バトルイベントやね。私はバトルに挑戦しだしたのがけっこう遅かったんやけど、自分がバトルにで始めた時にはもうエミちゃんはいてて。それこそクルーバトルで当たったんちゃうかな。GHOSTがまだAZURE(アズール)やった時。

先ほど少し話が出ましたが、MAHINAさんは地元が愛媛で、大学卒業と同時に大阪に拠点を移されたんですね。地元のご家族は、ダンサーという職業に対してどう考えられているのでしょうか?

MAHINA―― 両親はダンスについてはよくわかっていなかったと思います。私は大学の頃から大阪に遊びに来るようになったんですけど、卒業後も大阪でダンスがしたいと思って大阪で就活をしました。でも出てきたてでワクワクしていて、発表会やイベントにもいっぱい出たりの状態で結局ちゃんとした就職はできなくて。それでも、まずは保険や福利厚生がしっかりしている契約社員という形で働き出しました。

やはり親御さんは地元から大阪に出るとなれば心配されますよね。でも最近では地元愛媛に帰ってショーやWSをすることも多いかと思います。そうやって家族にもわかるような動きがあれば理解もしてもらいやすくなるのでは?

MAHINA――そうですね。(sucreamgoodmanの)YOHEIさんが愛媛に帰ってスタジオをスタートしてからは自分も地元で踊ることが増えました。
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二人のユニットを始動したのはいつ頃ですか?また、始めたきっかけを教えてください。

MIO――3年くらい前にSSのShow-go君がやってるPARTY×PARTYで「二人でやってもらえませんか?」って声をかけてもらったのがきっかけやねん。

まさかのブッキング先行ですか!意外ですね。でも、そのイベント単発で終わらなかったということですよね。「もっとこのユニットで踊りたい」となったポイントがあったんでしょうか?

MIO――自分は好きな曲を聴いてて、「これ他のユニットとかナンバーでは使えないけど、エミちゃんとならやれるな」って曲があって。

MAHINA――ユニットが単発で終わらなかった理由の一つとして、PARTY×PARTYの後もブッキングを頂いて、ショーが続いていったということもあります。曲についてもMIOさんと一緒で「これはMIOさんと踊る曲かも」ってリストアップしたりしていますね。自分は新譜もかなり掘るんですけど、かっこいい曲を見つけた時に「MIOさんとやることによってもっといいものが出せそう!」となったり。
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なるほど。二人ならではの雰囲気を共有できているということですよね。曲を普段からイメージしているということは、2人でのショーをイメージしているということですよね。お二人の似ているところ、違っているところはどこだと思いますか?

MAHINA――違うところというか、MIOさんの羨ましいところは「これ!」ってパンって決めちゃえるところ。

MIO――ちゃうねんちゃうねん!エミちゃんめっちゃ優柔不断やねん!(笑)

具体的にどんなエピソードが?

MIO――エミちゃんが曲を編集してくれているときも、私は「これでいいかな」って思ってるけどエミちゃんは納得できてないってこともある。(曲編が)完璧にできるまで練習にうつりたくない人やねん(笑)私はある程度できてたら練習やろかーってタイプやねんけど、エミちゃんは曲が完璧にならないと練習にうつらへんよね。

MAHINA――優柔不断のオタクなんです(笑) 曲が完璧にできないと練習しないってわけではないんですが、つなぎとか。それによって自分のテンションの上がり具合が違うから。ちょっとしたタイミングもこだわっちゃって。「もっとこの音が聞こえた方がいいんちゃうかなー。いやこのラップが、後ろのビートが…」とか。
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MIO――「そこ、そんなに重要かな…?」って思ってしまう!!(爆笑)

一同----- (笑)

MAHINA――やからこそMIOさんみたいにスパって決めれる人が近くにいたら、助かりますね。一人だとこだわり続けて、ずーっと悩み続けてしまうから。「これでいこう!」って切り替えられますね。だからと言って妥協している訳ではなくて、前向きに進めます。

なるほど。大胆派と慎重派。いいバランスですね!

MIO――私、大胆かなぁ?

MAHINA――自分もそうやってみようって意識しようとするけど、最終的にドツボにはまってしまいますね。

MIOさんに質問なのですが、「GIRL’S HIP HOP」というMIOさんの一面は、MAHINAさんとのユニットでは、なくなりますよね?例えば衣装一つとっても、肌の露出が、二人のユニットでは少なくなるイメージがあります。

MIO――うん。エミちゃんとユニットするってなったら、多分私が合わせる方がうまくいくと思ってて。なんというか、エミちゃんがGIRL’S HIP HOPに寄せてしまうと違和感がある。うまく言えないけど…エミちゃんがエミちゃんじゃ無くなるねん(笑)

MAHINA――MIOさんとユニットをするとなった頃にMIOさんが「ここは出したくないんよね」と言ったのにほっとしたのを覚えています。MIOさんのいう”隠す美学”については私もとても共感できる部分があって、「隠していても内側から見える色気」に惹かれます。ナチュラルに出る色気だったり、女性らしさを大事にしたいですね。外見も当たり前に大事だけど、無理しすぎると違うというか。そういう感覚は共通しているなぁと、この3年一緒に踊ったり話したりする中で感じてきました。

MIO――あ!衣装について、一個全然違うところがある。エミちゃんは本番前ラストの練習で、一回衣装を全部着てからやるよね。バンダナとかも全部つけて。

MAHINA――そうですそうです! 本番、どの衣装でいったらいいかわからん!てなるんですよね(笑) とりあえず練習の時に3つ4つ持って行って。

MIO――そういうのは自分は全然やらへんから。むしろ「明日の感じでいくわぁ」みたいなことの方が多い。でも「明日の練習、衣装持ち寄りませんか?」って。エミちゃんは完璧主義者やと思うねんな。きっちりしておきたいタイプ!

MAHINA――心配性なだけですよ!悩みまくるし、結局当日になって変わる、みたいなのもありますからね(笑)

MAHINAさんは事前の準備をしっかりすることで安心して本番に臨むというタイプなんですね。

MIO――私も失敗する時もあるけどね!事前に衣装着て練習せんくて、本番で「これ踊りにく!」ってなったり(笑)

MIOさんはWORK MIO SNAKERやMA-NAさんとのユニット、そしてMAHINAさんとのユニット…でそれぞれ別の顔がありますよね。ユニットによっていろんなMIOさんを見れるというイメージがあります。意図的にシフトしているという意識はありますか?
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MIO――そう言われると難しいなー。そんなに意識してないけどなぁ。

MAHINA――MIOさんはMIOさんやと思いますけどね!

MIO――まとめてくれた!!(笑)

まとめると、お二人は共通点よりも、違うところの方が多いということでしょうか。

MAHINA――でも、日常的に話してて「わかるわかる!」って共感することは多いんです!お互い人見知りやったり(笑)

MIO――確かに「有り無し」の感覚が一緒なことは多いよね。とにかく話が合う。しかも家も近くて。近所の飲み屋で一杯だけ飲もうってなったのに気付いたら5時間くらい話し込むとかもあったりするよね。
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5時間!

MAHINA――自分にとっては、ダンスについてこれだけ深く話せる人っていうのはとても珍しくて。ユニットの音決めでMIOさんちに行った時も結局音決めずに、朝まで延々話し込むみたいなのもありました。「もう5時や。まだ何も決まってない…」みたいな(笑) スタイルは違うけど、共感できることとか話せることはめちゃめちゃ多いと思う。

2, ダンサーという職業。ダンサーという人生

今、お二人の一週間のスケジュールはどんな感じですか?

MIO――基本的には平日はレッスンです。だいたい週に9,10本くらい。昼間や深夜に練習したり、PARTY行ったり。週末はショーやジャッジが入ることが多いかな?2日連続休みの日がめっちゃたまにあるねんけど、その2日のうち1日は、ひたすら寝てご飯食べる時だけ起きるダメ人間になります(笑)

MAHINA――私もレッスンの数はだいたい同じくらいです。平日はレッスンで土日を空けてます。休みの日は疲れをとったり、パソコンに向かって作業したり、イベントに遊びに行ったり。ジャッジの仕事が入ったり。
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ダンスだけで生活するというのは誰もが通れる道ではありません。お二人が今のライフスタイルに至ったプロセスを教えていただけますか?

MIO――うちはこの生活になるのがけっこう早かってんな。二十歳くらいでもうダンスでご飯食べてた。キャット(ダンスの専門学校)を卒業してからすぐくらい。やから、自分のダンスのキャリアとか年齢に追いつかなかった。

若くしてその生活を手に入れたということに戸惑いもあったわけですね。同年代は、まだ大学生くらいですよね。

MIO――でも時代的にいけたんよね。レッスンに来てくれる生徒も今より全然多いし。ダンスがバーッと流行った時代でもあったから。気付いたらこの生活だった。キャットを卒業したというのと、ちょうどその年にジャパン(ダンスディライト)に通ったのもあっていきなりレッスンの数が増えた。

MAHINAさんはいかがですか?大学を卒業して大阪に来られたとのことですが、「ゆくゆくはダンスだけで」というイメージはあったんですか?

MAHINA――がむしゃらに踊っている中で20代後半に差し掛かるとレッスンもちょっとずつ増えていって。ダンスの仕事だけで潤っていたわけではないけど、ある程度は生活できると考えてダンス以外の仕事を全てスパッとやめました。「自分はこれだけでやっていこう」と。何か保証があるわけではないですけどね。
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思い切りましたね!さっきの慎重派のエピソードを話してくださったMAHINAさんからは想像できない…!

MAHINA――時々出るんですよね(笑)

お二人とも女性ダンサーの中でも特にクラブイベントに近いところにいらっしゃると思います。現場での活動というのは意識的に取り入れていますか?

(インタビュー当時、MIOはCLUB GHOSTにて火曜日に開催されている「V」というパーティに隔週でフロアダンサーとして入っていて、MAHINAは同世代のダンサー、Taa,Akinobuと3人で「Cheers」というイベントをCircus Osakaで不定期で主催していた)
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MIO――もちろん楽しいからやってるのもあるけど、火曜の「V」のダンサーは幅が広がるかなと思ってやり始めた。ショーをするわけではなくて、そこに「いる」だけやからはじめは意味がよくわかってなかったけど。やっていくうちにいろいろ感じたり学んだりしてる。

MAHINA――自分は30歳手前ぐらいで「もう一個周りを盛り上げたい」という気持ちも生まれてきてもやもやしてたんですよね。で、Taa、Akinobuと話していたら3人とも考えていることが一緒で。パーティをやってみようという話になりました。Cheersは大きくなってきてはいるかもしれないけど課題はまだまだありますね。

逆にこれからやってみたい現場での動きはありますか?
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MAHINAーー今はまだ明確ではないけど、もしこれから何かをやるとなった時に、私の中でMIOさんは必要不可欠な存在だと思っています。各々のフィールドというか持ち味を活かせるような動きができたらなという話もしました。ただ、私自身、環境や気持ちも変わっていく中で、まだ模索中です。でも互いの気持ちに何か決め手、もしくは合致する案が生まれたら、ドンと動くかもしれません。こういう事も含め、MIOさんとはいろんな話をします。

自分にとって大事な話を共有できる相手がいるというのは本当に大事なことです。それにしても話を聞けば聞くほどナイスコンビですね。タイプは異なるけど、それがうまくかみ合っているというイメージです。

MIO――そうやって考えると、Show-goくんありがとうって感じやね(笑)

MAHINA――確かにその時は、言われない限り一緒にやることはなかったと思います!

自分の考えや感覚を振り返りながら、言葉を選ぶように話すMAHINAと、要所要所でそれらを端的にまとめるMIOの姿が印象的だった今回のインタビュー。それぞれのスタイルや活動するフィールドに多少の違いこそあれど、踊りについての考えや"アリナシの感覚"など、根幹の部分の共有こそが彼女たちをつなげる最も重要な要素なのかも知れない。「コミュニケーション」や「信頼」という言葉で片付けると安っぽくなるが、ユニットが乱立している現在のシーンにおいて、大切なアティデュードを極めてナチュラルに示してくれた。

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◉MIO LESSON INFORMATION
毎週月曜日 21:30 - 23:00
GIRL‘S HIP HOP 初級 レッスン
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◉MAHINA LESSON INFORMATION
毎週金曜日 21:00 - 22:30
HIP HOP 初級 レッスン
レッスンの詳細はこちら

その他のレッスンスケジュールはこちらから。


Seiji Horiguchi
フリーライター。新聞記者になることを夢見る学生時代を経て、気づけばアメ村に。関西を中心に、アーティスト(ダンサー/ラッパー/シンガー/フォトグラファー/ヘアアーティスト stc…)のプロフィール作成やインタビュー記事の作成を行っている。現在の主な執筆活動としては
・FRESH DANCE STUDIOインタビューシリーズ
・カジカジ、連載「HAKAH’S PROCESS」
・その他パーティレポ、ダンスチーム紹介文、音楽作品の紹介
などが挙げられる。大阪のストリートカルチャーにアンテナを張りつつアンダーグラウンドの「かっこいい」を広めるべく日々執筆中。


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