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FRESH INSTRUCTOR MAKOTO INTERVIEW

2017.01.27

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FRESH DANCE STUDIOプレゼンツ、インストラクターインタビューシリーズ。

8か月ぶりとなる今回はMAKOTO。
よく知られているMAKOTOの、あまり知られていない話。
さらには今の若手ダンサーに向けてのメッセージなど、
普段、聞くことのできない貴重なトークがたっぷり詰まっている。



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■ダンサーとしてのキャリアのスタート■

ーーまずは自己紹介からお願いします。

MAKOTOです。出身は兵庫の宝塚。
MIDDLE FILTERを中心にショー、WS、ジャッジをやってます。
それから、全国各地の90s HIPHOPが好きな仲間とTHE BROTHERSというクルーをやってます。

ーーダンサーとしてのスタートはいつ頃なんですか?

ダンスをしっかり始めたのは高3。ダンス甲子園とかZOOとか、テレビの影響が大きいね。
でも中学の頃からずっとダンス、ストリートファッションは好きやったなぁ。
MIDDLE FILTERを結成したのは僕が27の時やね。

ーーえ、そんなに後のことなんですか!?
10代くらいからずっと一緒にやってるものだと勝手に思ってました…。


HIRO君と出会ったのは19歳くらいの頃やねん。
その時はお互い違うチームで活動してて。
その当時のHIRO君のダンスチームが僕が働いてる服屋に買い物しに来たのがきっかけで知り合った。

時々ユニットとしてチームのメンバー同士でショーをやったりする事はあったけど、それ以上の関係ではなかった。
ケイスケ君の手がけたSoul Attackってイベントとかね。
このSoul Attackはかなり敷居が高くて、出るだけで価値のあるイベントやったなぁ。
今でいうスタイルジャンクションみたいな感じかな。クラブ版スタイルジャンクション。
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ーーずっと違うチームで活動してきて20代後半にしてチームを組むというのは興味深いですね。
何かきっかけがあったんですか?


初めてHIRO君と2人でユニットやったのがきっかけで色々話すようになってん。
好きなものの方向性だったり、こだわりが一致したのが大きかったかな。

僕はそれまではずっと服屋とダンスを両立して生活してた。
18からずっと服屋で働いてたから、デザインの仕事にいくのか、自分でショップを経営するのかっていう道を考えてて。

知り合いのダンサーは僕が働いてる店に寄ってからレッスンとか行くわけ。
それを店側の人間として見てるときに「羨ましい」っていう感情が起こったのよ。
そう感じた自分も嫌やった。
自分は本気でダンスやってるつもりやけども、「ほんまにこれでいいんか」ってね。

そうやってモヤモヤしてるタイミングでHIRO君との
チームの話があって「これに賭けてみよう」って話になって。
そこでダンス一本でやっていくと決心した。

ーーなるほど。

NIKE JAPANの社員になるのが夢やった時もあった!
ネクタイにロゴがマークされてるの見て「むっちゃ渋いやん!」て憧れて(笑)
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ーーMIDDLE FILTER結成以前、以後ともに
様々なユニットやチームを組んで活動された経験のあるMAKOTOさんにお聞きしたい事があります。
現在、ショーイベントが山ほどあって、ダンサーがユニットを組んでショーに出やすい環境についてどう思いますか?


自分はユニットも色々やったけど、基本的にチームをベースにしてきたね。
チームってやっぱりこだわりが共感できる場所やと思うし。
固定のチームを持たずにユニット中心でやるのもいいかもやけど、長続きしなかったり、スタイルが変わってしまうのは良くないよね。

あと「気が合うからやってみよう」っていう子が多い気がするけど、それよりも「クルーとしてかっこいいか」を見た方がええんちゃうかな?

ーー確かに今では”スペシャル感”があるユニットはなかなかないかもしれません。
「こいつもいる!こいつもいる!?」みたいな。


確かにそうやね。
自分らが10代、20代の時ってダンスがまだまだお金にならない時代やから
損得勘定っていうよりは「かっこよくなりたい」が一番やったな。
「どうせやるなら本気さを求めたい」というか。
メンバーをコロコロ変えてユニットやってる奴って軟派なイメージやった。

話のテーマは次第に「今と昔の対比」へ。
日本のHIPHOPシーン、ダンスシーンを長年見つめてきたMAKOTOの言葉には重みがある。


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■今と昔の違いの話■

ーー以前、30代のダンサーの方と話していて
「昔は今と違ってバトルもイベントに出てやるものじゃなくて自然発生的に勃発するものだった」と聞いたことがあります。
今みたいに皆、行儀よく待ってたりせず、隙があったらガンガン前に出る、と。


あーそうそう!あったねぇ!(笑)
みんなDJタイムで汗だくなりながら踊ってた!
バチバチにバトルしたあと、ムッチャ仲良くなる奴もいたよ。

初めてルールをきっちり決めて”イベント”としてやったバトルがアドヒップの「THE GAME ZERO回」やったんちゃうかな。

ーーZERO!? そんな回があったんですか。

大体のルールは今と同じやってんけど、予選とかほぼケンカやったわ!
誰か踊っててもしょぼい踊りしてたら2エイトくらいで次のやつ出てくるみたいな(笑)
全然踊れずに終わる奴がいたりしてね。
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ーー“バトルイベント”になじみのない分、限りなく当時のDJタイムのバトルに近かったんですね。
つい10年くらい前のことなのに今では考えられない…!


そう考えたら確かにいろんな事が変わったなぁ。
昔って今みたいに情報がないから自分から動かないと何もゲトれなかってん。
服にしてもレコードにしても。

特にレコードは!
レコ屋に行って店員さんに「こんな感じの曲なんすけど…」って行って耳元で歌ったりすんねん。
元ネタから何個もサンプリングした曲があったりしてなかなか見つからんこともあったよね(笑)

ーーそう考えるとDJタイムにSoundHound,SHAZAMできる今の環境は凄まじく便利なんですね…。

でも当時は不便やからこそ、死ぬほど真剣やった。

同じ曲の好きなフレーズ何回もループしたり、朝起きたらとりあえず新しく手に入ったビデオ見たり。
ダンスディライトの新しいビデオが通販で届いた時なんか
「すんませんお腹痛いんで休みます…」って電話してバイト休むくらいやった(笑)
今は曲も映像も手に入りやすい反面、そんなにリピートせえへんやろ?

苦労して手に入れたものへの愛着が大きかったかつてと
苦労せずに大量に入手できるものへのそれが薄れている現在…。
自分の行動を省みた時、大先輩の言葉に耳が痛くなる…。

ーーそれは人のつながりも一緒なのかもしれないですね。
今やSNSですぐに友達になれる時代ですし。


そやね。
今やったらFacebookですぐ繋がって知り合いになったつもりになるけど、実際は繋がりが軽い。
昔やったらクラブで話しかけて連絡先交換するとかしか方法がなかった。
その代わり、連絡をマメにとったりして、みんなそのつながりを大事にしてたね。

元チームメイトのイシイ君と繋がったのもそういう出会いやった。
先輩のレッスン行ったらイシイ君がいて「この人うまいな」ってなって
思い切って連絡先交換して、「今度一緒に練習してください」って言ったのが始まりやった。
イシイ君からしたら「なんやこいつめっちゃガンガンくるやんけ」って感じやったかもやけど(笑)
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そうやって便利になっていろんなものが手軽になった分、一個のものに対しての情熱が減ったと思うなぁ。
大衆化したらなんでもそうなんやろけど。

あ、でもいい事もあると思うけどね!
昔みたいに先輩に気、張らなくてええしねー
ハッハッハ!(笑)

鋭い眼差しで言葉を探すように思慮深く話す一面があったと思えば
時に弾けるような笑い声でパッと場を和ませるMAKOTO。
話せば話すほどに、ダンサーとしてだけでなく
一人の人間としての魅力も十二分に感じられる。


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■そしてこれからの話■

ーー「今」の事、そして「昔」の事、というテーマが出てきましたが
では、「これから」のシーンに対しての考えや、
こうなってほしいという願いはありますか?


ダンスイベントやスクールが増えて、入り口が広くなってる一方で、「こだわる部分がある」という事を皆が認識してほしいな。
最近は、「これや!」っていう衝動がない人とか、薄れてる人が多いと思うねん。
好きでダンスをしてるんなら、その衝動にもっと素直になってもいいんちゃうかな。

あと自分のやってるジャンル、スタイルを簡単に曲げたり、やめたり、ブレたりしない熱い人が増えたら
良くなっていくやろね。

それから「これ」っていうものに絞ったほうが深いとこに行けると思う。
そうやって貫いた方がかっこいいし。

“貫くことのかっこよさ”…。常にストリートで踊り続けてきた彼が放つと圧倒的な説得力がある。

ーーでは個人的な今後の目標はありますか?

もっともっとマニアックになりたいね。この時代のHIPHOPやったらあの人!って言ってもらえるように。
若いダンサーは体もきくし、多分これからもっとすごいダンサーが出てくると思うけど、それでも追いつけない存在になりたいな。
自分が若い時に衝撃を受けて憧れた人たちみたいに。
歩く姿から、レッスンでかける曲から、全部渋い!っていうダンサー。
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あとは80s~90sのold schoolにしばられないスタイルでやっていきたいかな。
「MIDDLE FILTER=New Jack Swingのチーム」として片付けられたくない。

確かにその時代の音楽とか踊りが好きで、チームのスタイルもそうやってカテゴライズされることもあるけど、それだけじゃないし、80‘s~90‘sの世界観を通して「HIPHOP」ということをもっと伝えたい。

レッスンの生徒も「NJSやりたいです!」って来てくれる人がいるけど
いつも言ってるのは「NJSは音楽のジャンルであって、ダンスはHIPHOP」ということ。
コンテストやショーに出た時に「あぁ、いわゆるNJSのチームね」と思われるんじゃなくて
その時代の踊りを踊ってるけど、他のどのチームよりも良くて優勝するとこまで持っていかなあかん。
「NJSを自分たちの強みにするな」ってね。

HIPHOPの幅広い文化をMiddle Schoolに特化した自分たちの解釈(フィルター)を通して表現する、
まさに彼らのチーム名の意図が垣間見えた。
これこそがMIDDLE FILTERが、そしてMAKOTO本人が今もなおFRESHな存在であり続ける所以だろう。

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MAKOTO [MIDDLE FILTER] LESSON INFORMATION
毎週土曜日 21:30 - 23:00
HIP HOP入門 レッスン

レッスンに関する詳細はこちらから。

その他のレッスンスケジュールはこちらから。



文 : Seiji Horiguchi

Seiji Horiguchi
フリーライター。
新聞記者になることを夢見る学生時代を経て、気づけばアメ村に。関西を中心に、アーティスト(ダンサー/ラッパー/シンガー/フォトグラファー/ヘアアーティスト stc…)のプロフィール作成やインタビュー記事の作成を行っている。
現在の主な執筆活動としては
・FRESH DANCE STUDIOインタビューシリーズ
・カジカジ、連載「HAKAH’S PROCESS」
・その他パーティレポ、ダンスチーム紹介文、音楽作品の紹介
などが挙げられる。
大阪のストリートカルチャーにアンテナを張りつつアンダーグラウンドの「かっこいい」を広めるべく日々執筆中。


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