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FRESH DANCE STUDIOプレゼンツ・インタビューシリーズ。BOXER JUNTARO前編

2018.07.07

今回のFRE$Hインタビューはグラフィティライター、BOXER JUNTARO.
裏なんばの飲み屋から大手アパレルブランドまで、
非常に幅広い層からウォールペイントやデザイン提供の依頼を受けており、
名前のインパクトも手伝って、日本のグラフィティライターの中でも、特殊な存在感を放っている。
シンプルで力強い作品の数々を、我々は街のいたる場所で目にすることができる。
この日のインタビュー場所はアメ村146STATE。
この日彼は、夕方から友人と飲んでいたらしく、到着した時には既にほろ酔い状態。
記事にはできないコンプライアンスを大声で連発し、脱線に脱線を繰り返し、
同じ話題に幾度となく舞い戻りながらも、根気よく本音でぶつかることで核心に迫るインタビューが実現した。

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1, ストリートに立ち、POPに描く。

宜しくお願いします。まずは自己紹介からお願いします。

BOXER JUNTAROという名前で、絵を描かせてもらってます。出身は大阪です。

普段はどういった場所で活動を?

基本的に大阪のストリートに根をはってやらせてもらってます。

大手企業にもデザイン提供されているとプロフィールにはありますね。

今までもこれからも、ストリートに根をはってるのは変わらないけど、
かといってストリート内での仕事だけを選択するのはちょっと違うと思ってる。
ストリートには、金を求めるものじゃなくて、カルチャー等を求めるべきだと思う。
だから自分は活動の拠点はストリートに置いてるけど、ビジネスに関しては違うフィールドで行うのが理想だと思ってる。

パーティでのライブペイントの仕事も多いと思いますが、そこでメイクマネーする意識はない、と。

そうやな。一概には言えないけどストリートには金より大事なものがあると思うんよね。
俺はマイメンにイベントのオファーもらった時は、基本(ギャラの料金を)任せてます。
一緒に現場で遊べるっていうだけで嬉しいし。
勿論いっぱいもらえたら嬉しいけど(笑)

ストリートに身を置きつつ大手のクライアントからも依頼を受けるというスタンスの由来なんですね。

ストリート=アングラって考えはあまり好きじゃない。
やっぱやるからにはオーバーグラウンドのでかいフィールドでブチかましたい。

電車や街の壁へのボムがグラフィティのそもそもの発端ではありますが、今はもうそのやり方ではないと。

今というか俺がね。人んちに勝手に書いちゃダメでしょ。例えば俺んちにされたら普通に怒るよ。
描きたいなら所有者をどうにか口説かないと。その方が作品が残るしね。
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シンプルな疑問ですが「BOXER JUNTARO」という名前の由来は?

ボクシングをやってたから。
もともと柔道をしてたけど、ボクシングに興味があって転向した。それが18歳くらいかな。
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格闘家からライターに転向するという例は他にはないと思います。どんなきっかけがあったのか気になります。

小さい頃からずっと絵を描くことが好きやった。
昔からティッシュの箱の裏とかチラシの裏のスペースに描いたりしてた。
でも誰かに習ったことはなくて。
きっかけになった出来事があるというよりかは、やろうという気持ちがあればなんぼでもやれるって思うんよね。

完全独学というのは、本当に驚きです。美術系の学校も行ってないわけですか?

行ってないよ。物心ついた時から絵が好きやっただけ。やり続けてたら今に至った。
もちろん美大とか行ってる人には多少の劣等感はあるよ。でも技術では劣ってもバイブスは絶対負けへんて思てます(笑)

仕事として作品を依頼されるようになったのはいつ頃ですか?

でかい絵を初めて描いたのは20年前くらい。
作品集(THIS IS BOXER JUNTARO)のボリューム1にも載ってると思うねんけど。
池袋にBEAMSの新店がオープンするときに、トップバイヤーの人から依頼があって。
ガラス面に描いて欲しい、と。
でもガラスに描いたことがないから、東急ハンズの池袋店に行って
画材コーナーのスタッフの人に「ガラスに描きたいんですけど何で描いたらいいんですか」って聞いたら
「アクリル絵の具がいいですよ」って教えてくれてん。
そこでアクリル絵の具買って、ガラスに描いたらめちゃめちゃ調子良くて。

そのエピソードは面白いですね!経験の中で進化していく感じがします。

わからんことがあったら年上だろうが年下だろうが関係なく「あの人知ってそう」って人に聞くようにしてる。
それまではいわゆる一般的な水彩絵の具で描いてたけど、ガラスに描くという場面で初めてアクリルに出会った。
同じように現場や環境によって、材料も試していくねん。そして何が適してるかを学び、いろいろやり方を覚えてきた。
色々大変やけどね。
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手探りの作業ですしね。時間もかかると思います。

描き続けてると「こういう時にはこいつが適してる」とかが次第につかめてくるわけ。
逆にメーカーによって、「ここのやつは使いにくいな」とか。
自分のスタイルにはこのメーカーのこれがやりやすい、とかを描いていくうえでだんだんつかんでいったね。

活動を重ねる中で、スタイルを確立してきたということですね。

そうやね。けどスタイルってこうやったら編み出せるっていうマニュアルが存在しないやん。
だから「こうやったからできるようになった」っていう事よりも
「とりあえず飛び込んでもがけ」ってことやな。水の中に飛び込まないと泳ぎ方も呼吸の仕方もわからんやん?
もがきまくった先に何かが見えたらこっちのもんやで。俺もまだもがきまくってる。

JUNTAROさんの作品といえば、力強いラインと鮮やかな色使いが特徴ですが、ずっとあのスタイルなんですか?
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上手に描かれへんから、逆に削っていくスタイル。
「どれだけシンプルに描くか」を常に考えてる。
線をどれだけ省くか。
例えば普通やったら線を2本引くところを1本に、とか。

シンプルに描く中で特徴をとらえるのは、より難しい作業になりますよね。
ライブペイントをするときでも、下書きなしで迷いなく描き進めていく姿が印象的です。


でも俺から言わせたら、俺が好きなダンサーとかミュージシャンもそうやで。
みんな自分の能力を持ってて、その場の空気感で即興で展開していけるやん。
その先の光景が見えてるというか。予測がついている感じ。

ダンスに置き換えると納得できる気もしますが…。素晴らしい能力であることは間違いないです。

…アニ!おかわり!!
(JUNTAROはこうやって話している間も緑茶ハイを常に煽り続けている)

2, 「アートは自由だ!」


H&MとNYのグラフィティライターとの肖像権問題。

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2018年3月、H&Mの広告用の写真に世界的に有名なグラフィティライターの作品が写った。
「ファストカルチャーの広告に自分の絵が入ることが許せない」と、写真の取り下げを訴えるライターに対して、
H&Mは「違法に壁に描いた絵なんだから、肖像権が認められるはずがない」と、なおざりな態度をとる。
これにより世界中のアーティストの多くアンチH&Mに傾く事態に。
ミッキーのLAのハンドサインで有名なSLICKが、
「FUCK H&M」というデザインのTシャツを99セントで販売し、爆発的に広まるなど。
2018年のアパレル/デザイン業界を大きく揺るがせる事件となった。


参考記事


JUNTAROさんも肖像権とサンプリングという問題で、色々あったと聞きましたが…。

そう。全て終わったらまた話すわ(笑)

もし誰かがJUNTAROさんの絵をサンプリングしたり、コピーして販売したとしたらどうですか?

俺はサンプリングされたところでどうでもいいし、(オリジナルの作品が)いいと思うからサンプリングするわけやから問題ないと思う。
ただ、サンプリングするにしてもセンスがなかったり丸パクリやったりしたらおいおいってなる。普通でしょ?

サンプリングとコピーの違いというのも難しいところですね。

結局イケてるかどうかだと思う。
俺がブルックリンで描いたビギーの絵をそのまま使って売ってたニューヨークのブランドがあったんやけど、
SNSでも結構騒がれて結果向こうが販売をやめたからこっちも攻めるのを終わらしたってことがあった。
そういうのはサンプリングでもなんでもなく、ただパクってたから最悪なやつ。
サンプリングするならオリジナルにまずリスペクトがないと絶対ダメだと思う。
リスペクトがあると絶対におかしなものが出来ないと思うんよね。
で、オリジナル側をも唸らすモノだったら最高ですね。
その時点でサンプリング超えて新しいオリジナルなんだから。

タイムリーでピリっとしたテーマにも突入したものの、JUNTAROの回答には一切の迷いがない。
(肖像権とサンプリングについては、実はもっと突っ込んだトークがあったのだが、諸事情でここに載せることが叶わなかった。
JUNTAROのいうとおり、全てクリアになった時に改めて触れることにしよう)
インタビュー前半戦はここまで。
後半では、NY,LA,ジャマイカの3か所を巡って、ペイントを行ったエピソード、そしてJUNTAROをJUNTAROたらしめる最もシンプルで重要なマインドについて迫る。

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インタビュー/文 : Seiji Horiguchi
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